第2話 ケルト訓練学校

「リコ、リコ、大丈夫?」


陸軍訓練学校はケルト王国の山間部にあって、その年に採用された軍人を教育する国

の機関だ。およそ200人の訓練生が、寝食を共にしながら7か月間厳しい教育を受ける。


19歳で陸軍に入りたてのリコは、訓練中に脱水症状で倒れてしまい、日陰で同期のサッチが面倒を見ていた。


「リコ、水飲んだほうがいいよ。」


「悪いなサッチ。ありがとう。それにしても、まだ1か月しか経ってないのにこんなにきついかね。」


「みんなきついって言ってるね。ケルトの教官は厳しいって有名な話らしいよ。」


サッチ・コナーはリコの1つ年下の18歳。田舎町から一人で出てきている青年だ。同じ田舎町出身者どうし、リコとすぐに意気投合した。

サッチは優しい。リコとサッチは一緒に過ごす時間が多く、お互いに切磋琢磨していた。


「リコ、そんなところでへばっててどうすんの!」


いきなり走って来たのはモモ・アギレラだ。

モモは21歳で、かわいい顔はしているが、性格は男勝りで何かと僕に言いがかりをつけてくる厄介な女子訓練生だ。


「ちょっと休憩してるだけだって。」


「そんなことじゃレンジャーなんて夢のまた夢ね。それじゃお先にー。」


レンジャーとは、陸軍の特殊部隊であるレンジャー部隊のことだ。戦闘で最も困難な任務を与えられる部隊であり、少数精鋭のエリートだ。リコもサッチも憧れ、目標にしている。

モモは学校での優秀な成績が認められて、女性で初めてレンジャー部隊の研修生に抜擢されたことで、お高くとまっているのだ。


「おしゃべりが出来るのなら、余裕があるということだな。」


後ろから音もなく現れたのは、鬼教官のロキ・キーンだった。


「二人とも腕立て300回実施後、速やかに訓練に戻れ!」


「はい!」


ロキ教官は、元レンジャー部隊の統括隊長だった人物で、今の校長に引き抜かれてこの訓練学校に来たらしい。顔や腕に大きな傷があり、厳しい戦闘をくぐり抜けてきていることが想像できた。レンジャー式の厳しい訓練は誰もが恐れていて、僕もその一人だった。


「223、224、225・・・リコ、頑張ろうぜ!」


やっとの思いで腕立て伏せが終わった。


「終わったらすぐこっちへ来い!」

ロキ教官のゲキが飛ぶ。


次の訓練は射撃訓練だ

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