第2話 自由への渇望
を降り、ごった返す人波をかき分けて少し小綺麗な階段を降りる。
近年の改装工事で駅前の様々な施設はその装いを変えていた。
しかしそれはごく一部でしかなく、線路の高架下や、その近くに店を構える居酒屋等は押し寄せる時代をものともせず、バブル時代に築かれた古き良き匂いをそのままに、その勇姿を保っていた。
その高架下に、文字通り陽を浴びない公園がある。電車が通るたびに轟音が響くせいか子供達は使っていないのであろう。全ての遊具は埃を被り、滑り台なんかはスプレーで落書きしてある。この公園には帰る場所も社会での居場所も失ってしまった人々が住んでいる。
「あいつらは自由なのかな…」
視界に映る数人のホームレスにすら憧れを抱く程疲弊しきっていたのかもしれない。少し先にいるその浮浪者たちをぼうっと眺め、また歩きだす。
毎日自分の言いたい事、自分らしさを出せないまま生きていく。現代の日本人が抱えがちな悩みだ。もはやそれはこの国で働く上でなくてはならない物になっていた。
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