エピローグ

 1



 源道寺雲雀は池から上がった。


「ふう」


 さて、橋の裏に隠したお宝を子供たちが見つけるまで、どれぐらいの時間がかかるだろうか。


 交通事故で死んでしまった友人の娘、愛華を引き取ったはいいが、彼女は両親を失った悲しみから未だ立ち直れていない。


 一日中部屋で塞ぎ込んでおり、あのままにしておくと、愛華自身が悲しみに圧し潰されてしまうのは時間の問題だった。


 子供の心を癒すことができるのは子供だけ。


 今回の宝探しの遊びは、愛華が華吉をはじめとする彼の子供たちと共にこの街を歩いて巡り、親交を深めながら楽しんでもらおうと考えたものであった。


 肩を並べて汗を流し、街を巡って地名を調べる。あーでもないこーでもない、と頭を捻って謎を解く。そしてようやく辿り着いた宝の隠し場所で本当に見つかるお宝は、彼らの思い出だ。


 この冒険が、彼らの人生のアルバムに収まることを願って。


「さて、と」


 さすがに一日で見つかることはないだろうがな。


 雲雀は濡れた足をタオルで拭き、縁側に腰を下ろした。


 

 19XX年のある夏の日のこと――







 *



 クソガキぼうけんたいと秘密の地図  


 完

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【大長編】クソガキぼうけんたいと秘密の地図 館西夕木 @yuki5140

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