人形使いの結論

 まさか、ユーリが実たちの味方に回るとは……



 拓也にも大量の部下を差し向けた後、混戦の中でさりげなく戦線から離脱したセツは、いっそ冷静な思考で状況を俯瞰ふかんする。



 大誤算なんてものじゃない。

 この状況は、自分の中ではありえるはずのないものだ。



 ―――どうしてこんなことになった?



 それをちらりと考え、すぐにやめた。



 こうなった経緯など、もうどうでもいい。

 自分はこの状況を認可できない。

 それだけで、彼らを葬る理由には十分だ。



(ユーリ。残念だけど、お前を離してなんてやらないよ。)



 実たちの後ろで悲しそうな表情をしているユーリに向けるセツの視線は、静謐せいひつで冷たかった。



(お前には、最後の仕事が残ってるんだから。)



 セツは両手を胸の前で組む。

 そして、慣れた様子でその手を踊らせた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る