第5章 今、目の前にいる人を――

赤を追って

「ちょっ……ちょっと待ってよ……」



 突然一人で取り残され、実はなかば茫然とその場に立ち尽くした。



 あんなきらめく笑顔で関係ない人間をかっさらっていくなんて、ペリティールは何を考えているのだ。



 いや、彼女たちのやることに意味を求めても仕方ない。

 今はとにもかくにも……



「ちくしょう! 五分って、どんな無茶振りだよ!?」



 自分の気持ちを引き締めるためにもあえて大声で毒づき、実は頬を叩いた。



 さて、五分という制限時間を与えられてしまった以上、いつまでもここで油を売っているわけにもいくまい。



 彼女が五分と言ったのなら、死に物狂いで探せば、五分で到着できる場所にペリティールの花畑があるはずだ。



 実は目を閉じ、手元と周囲の力に集中する。



 これ幸いというのも複雑だが、周囲に誰もいないことで、遠慮なく魔法が使える。



「よし、行くか。」



 ある程度の方向を掴み、実は勢いよく地面を蹴った。


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