第118話 バレた‼️

 いったい何でこうなった⁉️

 スイリョウは頭が痛くなる。

 いや、妊娠のことではない。

 それは、それなりに納得済みの行動と結果だった。

 それよりも……

 いい年(30代)して、出戻りで、今更こう言う目に会うと思わなかった。

 大使館1階の大部屋にて。

 スイリョウは、父親である大使の前に座っている。

 隣に、宗近を伴って……

 時間は少し遡る。


 ちょうど、ゲツレイと沖田が接触していた頃だった。

 大使と自分、スウトウ達夫婦で朝食を摂り、時間が空いてしまった。

 秘書官兼通訳のスウトウは、今日から仕事復帰らしい。執務室で大使と打ち合わせを始め、ゆきは洗い物など女中の仕事で忙しく、事務官ながら事務はしていない、自分だけが暇である。

 そう言えば、ジュンケンもゲツレイもまた大きくなったようだし、2人の服でも作ろうか?

 買い置きの反物を引っ張りだし、ふと胎児が動いた気がした。

 「‼️」

 ああ、もうしばらくは大丈夫だけれど、この子の産着とか、用意しないといけないな。

 どうやって親父の目を誤魔化すか……

 考えて、直後聞こえた声に、そんな先の事を思っている場合ではないと思い出した。

 釘を刺そうと思っていた。

 ただ、昨日の今日で、そしてまだ午前中の早い時間で、まったく警戒していなかった。

 「スイリョウさーん‼️」

 玄関先で声がする。

 「結婚しましょーう‼️」

 いや、だから、子供か、あんたは⁉️

 バタバタと慌てた足音がして、狼狽し過ぎだ、

 「え⁉️どういう事⁉️」と、清国語になってる父親の声が……

 ……

 冒頭に続く。


 「で?いったいどういう事なんだい?」

 大使は……

 いつもの落ち着いた姿はどこへやら。

 娘を案ずる父親、そのものだ。

 『今更⁉️出戻りの三十路娘に⁉️』と思う。

 そう言う態度が欲しかった、1回目の結婚話の時はただ意見を押し付けるだけ、ひたすら上からの男だったので、なおさらイラつく。

 目を反らし、気持ちを静めようとすれば、

 「はい‼️私、お嬢様と付き合っておりまして‼️子供も出来たようですし、結婚の許可をいただきたい‼️」と、こちらもイラつくほどハキハキと、宗近が答えた。

 まったく、この馬鹿……

 逃げない事は誉めてやれるが、あたしは『結婚』自体望んでいないぞ。

 結婚はしたくない。

 結婚は嫌だ。

 これはもう、はっきり言ってやるしかない、のか?

 気付いたら、父が自分を見つめていた。

 覚悟と共に、スイリョウは話し出す。

 「宗近の言うのは全部本当。子供がいるのも本当だけど……

 あたしは宗近とは……って言うかこの先誰とも‼️絶対に‼️結婚はしない‼️」


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