第52話 夜8 あと一人
眩しい閃光は放たれた後、凄まじい音が教会内に響き渡った。
黒髪のセミロングでメイド服を着た女――エルが、気を取られて振り返り叫んだ。
「メル!」
黒い長髪のメイド服を着た女――メルが、宙に打ち上げれて回転しながら床に落下し、ゴムまりのように弾んで倒れたまま動かなくなった。
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、教会入り口付近で起こったその光景を遠めで見つつ、気を取られて戦う手を止めた。
真紅のワンピースドレスを着た金髪のお嬢様――マリエッタ・ロードネスが、黒髪でセミロングのメイド服を着たエルの隙を見て、右手に握った燃え上がる炎の鞭を横になぎ払い振るった。
「しまった!」
と、黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、慌てて真紅のワンピースドレスを着たマリエッタに振り返る。
なぎ払われた炎の鞭は、黒髪でセミロングのメイド服を着たエルの身体に、一瞬にして巻きついた。
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、右手に握った燃え上がる炎の鞭を手から離し、それが床に落ちる。
炎の鞭が身体に巻きつき、身動きが取れなくなった黒髪でセミロングのエルに、マリエッタが右手の指を差し出し、それを弾いて鳴らし。言葉を放つ。
「フリップ」
パチンと、真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが右手の指を鳴らすと、手から離れた炎の鞭がうねうねと蛇のように動き、黒髪でセミロングのメイド服を着たエルの身体に絡まっていき、更にきつく締め上げる。
パチン、とマリエッタがもう一度、指を鳴らして言葉を発した。
「ピラー」
すると、炎の縄で身体を締め上げられた黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、地面から吹き出した燃え盛る炎の柱に包まれた。
炎の柱の中から、悶絶するエルの悲鳴が聞こえる。
十秒ほど時間が経ち、地面から立ち昇る炎の柱の中からエルの声が途絶えた。
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、再び指を鳴らし、言葉を発する。
「リフト」
パチン、とマリエッタが指を鳴らすと、炎の柱が消滅し、中にいたエルが炎の縄に縛られたまま、膝から崩れて床に倒れた。
焦げ臭い黒い煙が所々から立ち昇り、黒い髪でセミロングのメイド服を着たエルはうつ伏せに床に倒れたまま、全く動かなくなった。
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、左手の広げた白い鉄扇を口元に当てて、言った。
「あなたの周りの空気を少々消滅させていただきましたわ。まぁ、多少髪が焦げてしまいましたが、死ぬよりはマシですわ」
白い鉄扇を畳み、真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが周囲を見渡す。
「あと一人ですわ……」
チャペル付近で戦う二人を見た後、真紅のワンピースドレスを着たマリエッタは踵を返した。
教会入り口付近で血を流し倒れている、命の危うい青い貴族服を着た青年――ジャックス・レイモンドの元へと、マリエッタは駆け寄った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます