第50話 夜6 貴族の羊はなにとをもふ2
真紅のワンピースドレスを着た金髪のお嬢様――マリエッタ・ロードネスが、右手に持った炎の鞭を振るった。
ゴゥ、と赤い軌道を残しながら燃え上がる炎の鞭が空を裂く。
黒髪でセミロングのメイド服を着た女――エルは、大きく上に跳び、なぎ払われる炎の鞭を躱す。
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、空中のエルに向かって左手の広げた白い鉄扇を振る。
「エアカッター」
三日月形の風の刃が、白い鉄扇から飛び出した。
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、飛んできた三日月形の風の刃を、右手に持った白い刀身の短剣で受け、その力を利用して空中で身を翻す。
地面に着地した黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、言葉を発して床を踏みこんだ。
「
姿の消えた黒髪でセミロングのエルが、真紅のワンピースドレスを着たマリエッタの前に現れる。
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、左手に持った黒い刀身の短剣を、真紅のワンピースドレスを着た金髪のマリエッタの顔にめがけて突き出した。
マリエッタが僅かに後退し顔を傾け、その突きを華麗に避ける。
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが一歩踏み込み、右手に持った白い刀身の短剣を、金髪のマリエッタの顔へ突き出す。
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタは、ステップを素踏んで右にずれ、白い刀身の短剣を突進するエルの身体ごと避けた。
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルは、手を止めず次々に短剣を突き出すが、真紅のワンピースドレスを着たマリエッタは、まるで舞踏するように軽くステップを踏み、優雅に攻撃を避け続ける。
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、左右の手で短剣を突き出し続け、手を止めずに口を開く。
「どうだい、これだけ近づけば魔法は使えないだろ」
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、乱れぬ呼吸でステップを踏み続けて攻撃を華麗に躱す。
「躱す体力がいつまで持つかな」
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、軽いステップを踏んで攻撃をかわすマリエッタに対して息つく間も与えずに、左右の短剣で攻撃し続ける。
白い鉄扇を振り、真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、エルの突き出した短剣を受け流す。
「エマージェンシーランスアロー」
と、真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが言葉を口にすると、足元の床に大きな白い魔方陣が浮かび上がった。
危険を察知した黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、素早く後方へ飛びマリエッタから距離をとった。
すると、頭上から無数の光の槍が現れ、エルが立っていた床に降り注いだ。
床に突き刺ささって出来た光の槍の山が、暫くすると光を僅かに放ち消え去った。
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、両手の短剣を構えて、真紅のワンピースを着たマリエッタを警戒する。
「足で魔法を発動したのか……」
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、右手に握った燃え上がる炎の鞭を振り上げる。
燃え上がるの炎の鞭は、黒髪でセミロングのメイド服を着たエルの頭上から、しなって振り下ろされる。
横に飛びのいたエルに、真紅のワンピースを着たマリエッタが、左手に持った白い鉄扇を振り扇ぐ。
「ウィンドプレス!」
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルは、白い鉄扇から放たれた凄まじい突風を受け、身体が支柱へと吹き飛ばされる。
側廊の支柱に背中を強打し、黒髪でセミロングのエルは、肺から息を吐き出した。
支柱にもたれかかり、エルは倒れないように足を踏ん張って立った。
真紅のワンピースを着たマリエッタが、手を休めて訊いた。
「あなた方は、いつからジャックスを裏切ろうと考えていたのですか?」
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、支柱に手を突いたまま荒い呼吸で肩を大きく上下させ、言った。
「ずっとだよ、初めからずっとだ」
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、瞳を一度ゆっくり閉じたあと、暫くして目を開き、言った。
「主人はローエン・レイモンドですか?」
「……」
「それではソーモンですか?」
「……」
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルは、支柱に手を突いたまま立った体勢を保ち、何も応えようとはしない。
「あなた方の主人は、ジャックスですか?」
支柱に手を突く黒髪でセミロングのエルは目を瞑り、口角を緩ませ笑みを漏らし、鼻で笑った。
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、目を瞑り不気味に笑う黒髪でセミロングのメイド服を着たエルに、再び訊いた。
「ジャックスを弄ぶことが、そんなに楽しかったですか?」
「あぁ、楽しかったよ……」
黒髪でセミロングのメイド服を着たエルが、目を開き応え、続けた。
「羊を手なずける羊飼い役は、わたしでも気づかなかったぐらい、わたしの性に合ってたよ」
「あなた方は、ジャックス・レイモンドという男を、甘く見すぎですわ……」
真紅のワンピースを着たマリエッタが、悲しい目をしてエルを見つめる。
「羊は一体、どちらなのかしら……」
黒髪でセミロングのエルがふっと笑い、支柱から手を離し、体勢を立て直した。
両手に短剣を構え、黒髪のメイド服を着たエルが、真紅のワンピースを着たマリエッタと再び向き合った。
「お覚悟は、もう決められているようですわね」
真紅のワンピースドレスを着たマリエッタが、左手に持った白い鉄扇を握りなおし、右手に握った燃え上がる炎の鞭を軽く振ってしならせ、再び黒髪でセミロングのメイド服を着たエルと対峙する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます