第29話 ヤバいやつ
昨日、颯杜さんに言われて学校には家の事情でしばらく休むことを伝えた。
今は柚杏が来るのを待っていて、その間に昨日の手紙がなんだったのか。
それを颯杜さんに聞いてみようと思った
「颯杜さん、昨日の手紙の内容ってなんだったの?」
「萌果は気にすることないよ」
「気になるの。教えて?」
「知ったら後悔するぞ」
「それでもいいよ。少しでも颯杜さんの力になりたいの。」
「…わかった。実は、狛龍組で一番の厄介者が出所して来たらしいんだ」
「そう…なの?でも、それが私と柚杏になんの関係が?」
「それで、桐生が自信を持ったらしく"あいつが出所してきたから、もうお前なんか怖くない。これで萌果は俺のものだ"みたいなのが簡単に言うと手紙に書かれていた内容だ。」
「そんな…それに柚杏は?どうして?」
「柚杏ちゃんは顔を知られてる。もし、人質に取られて、萌果に直接交渉しに来たら萌果は桐生のところに行こうとするだろ?」
「うん…」
「だから柚杏ちゃんもここに居てくれたら安心だと思ってな」
「確かに…ちなみにその出所してきた人ってそんなに危ない人なの?」
「あぁ。容赦のないやつなんだ。」
「そ、そんなにやばい人なの?」
「そうだ。だから、俺の目の届くところにいて欲しい。」
「そういうことならわかった。」
「ありがとう。でも、話のわからないやつじゃないんだ。ちゃんと話し合いさえすれば、分かってくれる。」
「そうなの?でも、狛龍組の人ならなんで知ってるの?」
「そう。まぁ、要は理不尽な奴には容赦ないって感じの奴だ。それは何度か話し合いしたことがあって、話したら分かる奴だったんだ」
「そうだったんだ…。でも、出所って事は何かしたんでしょ?」
「言うならば身代わりだな。桐生のやった事の身代わりをしたらしい」
「そうなんだ…」
「きっと桐生は俺を悪く伝えるだろうな」
「え?」
「萌果を俺が桐生から奪ったとか何とか言って、萌果を連れ戻しに来るだろう」
「そんな…でも、話したらわかってくれるんでしょ?」
「まぁ…証拠があれば俺の話を信じてくれるんだろうけど…」
「証拠かぁ…私が証言したらいいんじゃないの?」
「うーん…それで通じればいいんだけど…」
「話し合いができる人なら大丈夫じゃない?」
「うーん…」
「穏便に済ませられるならその方がいいんじゃないかって思うんだけど…」
「そうだな、強硬手段さえして来なければな。」
「その時は私もちゃんと話すから。」
「出来れば萌果には関わらせたくないんだけどな…」
そう言う颯杜さんは不安そうな顔してたけど、私が抱きついて"大丈夫だよ"って笑顔で言うとほっとしたのか颯杜さんも笑ってくれた。
「本当、萌果の笑顔には癒されるよ」
そう言って颯杜さんは私のおでこにキスをしてくれた。
「颯杜さんと居るだけで私は笑顔になれるんだよ!なんでか知ってる?」
「なんで?」
「颯杜さんといる事が幸せだから♪」
私がそう言うと一瞬驚いた顔をしたけどすぐに笑顔になってぎゅーっと抱きしめてくれた
そんな風にイチャついているといつの間にか柚杏と瞬さんたちに覗かれていて、颯杜さんは皆に怒っていたけど、瞬さんはずっと颯杜さんを茶化していた。
こんな幸せが続くといいな…
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