第26話 心配
「ただいまー!」
「お邪魔します」
私が玄関を開けて入り、声をかけると何故か誰からも返事がなかった
「あれ?居ないのかな?」
「いつもは出迎えてくれるの?」
「そうなんだけど…」
不思議に思いながら柚杏と2人で中に入ってみんなを探した
でも、どこにもいなかった
「居ない…何かあったのかな?」
「とりあえず、待ってみたら?」
「そうだね。夕飯作るけど柚杏食べてくよね?」
「いいの!?ってか、萌果って料理出来るの?」
「うん。1人分増えるくらいなら大丈夫!料理は涼さんに教えて貰って出来るようになったよ!」
「涼さんって料理上手なんだ?」
「そうだね、ここでは料理担当みたいな?ほっぺが落ちちゃいそうなくらい美味しいんだよー♪」
涼さんの話をしながら颯杜さんたちの分も含め料理を作った。
「出来たー!颯杜さんと涼さん褒めてくれるかなっ」
「涼さんはわからないけど、颯杜さんは萌果の作った物ならなんでも美味しいって言って食べてくれそう」
そんなたわいも無い話をしながら皆が帰ってくるのを待っていると、玄関の方が騒がしくなった
「帰ってきたかな?」
「行ってみよう!」
柚杏に促され玄関に向かうと…
「おかえ…颯杜さん!?」
「あ、萌果ちゃん」
「何?どうしたの!?」
そこにはお腹まわりを包帯で巻かれて、顔にもたくさん手当された跡がある颯杜さんが綾人さんに支えられて帰ってきた
「萌果さん大丈夫ですから、落ち着いてください」
「で、でもっ」
「心配かけてごめんな?大丈夫だから泣くなよ?」
いつの間にか私は泣きそうになっていたらしく、颯杜さんが頭をポンポンしてニコッとしながらそう言ってくれた。
「萌果、大丈夫?」
「柚杏…」
その後、私は柚杏に支えられながらみんなと居間に移動した
「颯杜さん何があったの?」
「あー…ちょっと子供を助けようとしたらこうなった」
「こうなったって…事故に合ったって事なの?」
「そう。本当、心配かけてごめんな」
「もう…帰ってきた時、心臓が止まるかと思ったんだから」
「ごめんな。」
私と颯杜さんがその話をしている間に柚杏は綾人さんと話していた。
「綾人さん。あの話って"嘘"ですよね?」
「そう…ですね。柚杏さんは勘が鋭いんですね。」
「なんとなく違うかなって。」
「萌果さんには内緒でお願いしますね。」
「はい。でも、萌果には被害ないんでしょうか?」
「萌果さんの事は何がなんでも守ります。」
「お願いします。あの子は私のたった1人の大事な親友なので」
「約束します。萌果さんは必ず守ります。そして、柚杏さんにも被害が及ばないよう守らせて頂きます」
真剣な顔で綾人さんはそう約束した。
「あ、ありがとうございます」
そう言った私の顔が熱くなっていくのがわかり、綾人さんに気づかれないように下を向いた
その後、颯杜さんは"萌果の作るお粥が食べたい"と言い。颯杜さんだけお粥にして、みんなで萌果の作ったご飯を食べた
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