第24話 独占欲と過保護

「で、進路で話したい事って?」


「あのね、私。進学しようと思ってるの」


「そうか、やりたいことがあるのか?」


「うん。私、子供が好きだから保育士になりたいの!」


「そうか、いいと思うぞ?相談ってその事か?」


「それもだけど、もう1つあって…」


「何?」


「…進学を機に一人暮らしがしたいの」


「………は?」


「だから、一人暮らしがしたくて」


「え?なんで?」


「自立って言うこともあるけど、一人で色々頑張ってみたくて」


「正直…それは無理」


「どうして?」


「萌果のいない生活なんて俺には無理だから。それに…」


「それに?」


「…寂しいじゃん」


「さ、寂しい?」


「うん。こうやって抱きしめたり、キスしたり出来ないだろ?」


そう言って颯杜さんは抱きしめてきて触れるくらいのキスもされた


「そ、そうだけど…」


「それが出来ないなんて、俺には耐えられないんだけど?」


口を尖らせて拗ねている颯杜さんを見て不覚にも可愛いと思ってしまい、気持ちが揺らいでしまった。


「えっと…週末は帰ってくるのとかじゃ…ダメ?」


「だめ。言ったじゃん"俺は独占欲が強い"って」


「そ、そうだけど…一人暮らししてみたいし…」


「そんなにしたいのか?」


「うん、社会勉強も含めてやってみたい」


「…わかった。でも条件がある」


「条件?」


「合鍵を渡す事と、週末は必ず帰ってくること、バイトは認めない、家を出る時と帰ってきた時は連絡すること。」


「わかった(結構多いな…)」


「あと、最後に」


「何?」


「何か困った事とか不安な事とかあったら直ぐに連絡する事。こっちの方が一番大事な条件な。」


「颯杜さん…」


最初、やっぱり独占欲の強い男の人だなと思っていたけど、一番は私を心配してくれているんだって事に嬉しくなった。


「それが守れるならいいけど。」


「わかった!ありがとう、颯杜さん。」


そう言って私から颯杜さんにキスをすると驚いた顔をしたけど、そのあとニコニコになってギューって抱きしめてきた。


颯杜さんってこんな人だっけ!?


「あ、でも。バイト禁止って…家賃とかどうしたら?」


「それなら大丈夫だ。家賃と学費と生活費は俺が払う」


「……え!?」


「なんだ?不満か?」


「そ、そうじゃなくて。それは申し訳ないから…自分で働いて…」


「だめ。俺がしたいんだから素直に受け取っておけ」


「…颯杜さんって独占欲も強いけど、過保護なんだね」


「愛する女性の事なんだから過保護にだってなるだろ?」


「んぇ!?あ、はい…」


愛する女性だなんて…颯杜さんから"愛する"とか"愛してる"とか言われると未だに照れてしまう。


「で、どうするんだ?」


「えっと…一人暮らしの件。ちょっと考え直します」


颯杜さんの独占欲と過保護に押され考え直すことを決意した。



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