第10話 素敵な彼

あれからどれくらい経っただろうか。

途中お腹がすいてスイーツを頼んだり、駿さんや一葵さんとお喋りしていたら結構な時間が経っていたらしい。


「会合って結構長くやっているんですね」


「まぁ。その時の内容にもよりますけど、短い時もあれば今みたいに長い時もありますね。」


「そうなんですね…」


「でも、今日は萌果ちゃんがいてよかったっすよ。長い時は正座してるのが辛いんすから!」


「足が痺れちゃいますもんね」


そんなたわいもない会話をしていると、私がいる部屋の襖が開いた


「萌果、帰るぞ。」


「はい、颯杜さん。」


着物に慣れない私が立ち上がる時に、一葵さんが立ちやすいように手を差し伸べてくれた。


「ありがとうございます」


一葵さんにお礼を言って颯杜さんの隣へ行き、また1歩下がって歩きだした


「結構待たせてしまったな」


「そんなことないです!駿さんと一葵さんとお喋りしていたので!」


「そうか。美味しいものは食べられたか?」


「はい!ここのスイーツがすごく美味しくて」


「萌果が満足したならよかった」


そう言って颯杜さんは微笑んで私の腰に腕を回し、車までエスコートしてくれた。


そんなことされたこともなかったから、かなりドキドキしてそれが颯杜さんに聞こえちゃうんじゃないかって心配だった。


それから家に帰ってからも私は着物を脱ぎたくなかったので、しばらくはこの格好でいることにした。


「動きにくくないのか?」


「動きにくいですけど、せっかく着たのにこんなにすぐに脱いだら勿体ないかなーって!」


「そうか、無理するなよ?着物なんていつでも着させてやるからな」


「ありがとうございます!」


結局、そのあと30分と持たず着替えることになった。


「ふーっ。やっぱり慣れないものを長時間着るのは大変ですね…」


「萌果、大丈夫か?」


畳の上にうつ伏せで寝転がっていると、颯杜さんが隣に座って私の頭を撫でながら聞いてきた。


「大丈夫です!でも…颯杜さんに撫でてもらうと落ち着きます」


「!!」


私がふにゃっとした顔でそう言うと、颯杜さんは一瞬驚いた顔をしたあと"そうか"といって顔をそむけたけど、私は見てしまった…


颯杜さんの耳が真っ赤になっていたことを!


颯杜さんも可愛いところがあるんだなぁと思いつつ横顔がかっこよくて、しばらくその横顔を見ていた。

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