第3話ありがとう

私が牡丹組にお世話になってしばらく経った。


その間に両親の葬儀など全て颯杜さんがやってくれた。


「颯杜さんありがとうございました。」


「当然のことをしたまでだ。」


未だに颯杜さんのことはわからない。

優しいところもあれば、今みたいに冷たいような態度を取られることもある。


綾人さんに一度、颯杜さんについて聞いてみたことがある。


「綾人さん、颯杜さんってどんな人なんですか?」


「颯杜?んーっ不器用かな?」


「不器用??」


「そう、いつもあんな感じだから誤解されやすんだけどね。でも、本当はすごく仲間思いで良い奴なんだよ(笑)」


颯杜さんの話をする綾人さんはすごく嬉しそうに話していた。


私は綾人さんの話を思い出し、考えていた。


「(仲間思いで優しい…かぁ…)」


「…か」


「(私、あんなすごい人の許嫁でいいのかな?)」


「萌果!!」


「ひゃい!」


「…大丈夫か?」


「え、あ。大丈夫です!」


「そうか…」


そう言って颯杜さんは私の頭を撫でながらこう言った。


「何かあったらすぐに言え。お前の悲しみも苦しみも全部俺が一緒に背負ってやるから」


「颯杜さん…ありがとうございます!」


「家族が困ってたら助けるのは当然だからな。」


さらっとそんなことを言う颯杜さんに私の心は少しづつ惹かれていった。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る