にいさま、怖い話をしましょう②


 僕は呆れ気味に返したが、妹はまるで意に介する様子もなくニコニコとしている。

 ため息をついて手元のスマホ画面へ視線を戻すと、ぴょこんという受信音とともに新規のメッセージが浮かぶ。さっきまでやり取りをしていたクラスメイトからだった。


「それは……学校のご友人ですか?」


 メッセージを返信しようとした僕を見て、妹が問う。






「ああ。同じクラスの奴だよ」

「同じクラスの……」

「うん」

「ええと、その方はその……」

「なんだよ」

「そのご友人の方は……どういった方なのでしょうか」

「どうって?」

「たとえば……男子なのか女子なのか、とか」


 妙なことを聞く妹である。


「まあ、男子だけど……なんか気になる?」

「いえっ。ただちょっとその……そうですね、そう、少し驚いたと言いますか……にいさまに学校のご友人がいたなんて、と」

「僕に友人がいちゃ悪いか」

「いえいえ。でも、にいさまはこちらの学校に来てまだ日も浅いですよね? もう個別にメッセージを送り合うご友人が出来たのですね」

「失礼な。まあでも……それはそうかもな」


 いまは高校二年の四月。

 僕がこの土地の学校に転入して数週間と経っていない。

 そういう意味で、妹の指摘はもっともだった。


「確かにクラスでもよそから来た転校生って扱いで、まだまだお互いに慣れてない感じはあるよ。こっちもクラスメイトの名前と顔がまだ全然一致してないし。……いまやり取りしてるやつは別だけども」

「別、とは?」

「あ、ごめん。ちょっと待って」

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