◎月13日
今日を思い出せば朝イチから最悪だった。最初の不幸は上司からの説教。何時かの仕事をオレがサボった事が原因で大口の顧客の信用を失い、それが原因で受注予定だった業務は敢え無く失注。俺は散々に説教食らった挙句に減給処分を受けた。ふざけるな、俺だけのせいじゃないだろと食って掛かったが結局判断は覆らず。だが、直後に異変が起きた。
「不幸の後に幸運は訪れ……」
今度は会社の一室で、何ならまだクソ上司と顔突き合わせてるんだぞ。なのになんでこんな状況でまた不気味な声がまた聞こえるんだ?と、驚いた俺はズボンのポケットに何やら妙な違和感を覚えた。
で、調べてみたら驚いた。中から出てきたのは真っ赤なお守り。オイオイ、今コレは家にある筈だろと戦々恐々する俺を他所に対面の上司は呆れて部屋を出て行って、そうして俺は部屋に残された。
一人呆然としながらも考える。どうやらこの声はお守りが近くにある時にだけ聞こえるらしい。とすれば俺は捨てた筈のソレを何時の間にか持って帰っていた事になるが、まぁソレはどうでも良い。説教が終われば時間はちょうど昼飯時になっていた。なら飯を食いに行こうと外に出た直後に俺の視界は大きく揺らぎ、その次に横っ腹に痛みと熱が走りった。
「す、すいません!!大丈夫ですか?あのっ、誰か救急車お願いします!!」
そしてさっきまでの不気味な声とは明らかに違う女の声が聞こえ、俺はそのまま気を失い、そして病院のベッドの上で目を覚ました。視界に映ったのは白い病室の壁。しかもココは個室だ。身体を起こせば左腕はギプスで覆われており、その向こうには堅物そうな頑固おやじ風の男ととても可愛らしい女性が並んでいた。誰だコイツ等?と、そんな風に疑問に思っていると、その二人が唐突に頭を下げた。
「この度はウチの娘がご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。」
「ご、ごめんなさい。ホントに、なんでか急にハンドルが……」
その話を聞いて成程と納得した。話を総合すればどうやら俺は交通事故にあって、で今目の前にいるのが加害者の女とその父親という訳だ。その後も更に詳しく話を聞かせてくれたが、どうやらこのお嬢さんの父親は相当な金持ちらしく、娘が事故を起こしたと知るや
今まで見たことが無い桁数の金が入った通帳を見た俺は舞い上がり、同時に何故だか確信した。このお守りだ。一度目は上司の説教と脅迫だったから安かったが、今度は人身事故。だから以前とは比にならない大金が転がってきた。
間違いない、不思議とそんな確信があった。が、なんでそうなるのか、とか声の正体などは依然として不明。だが、そんな不気味さを差し引いても
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