◎月10日

 今日はツイてた。事の切っ掛けは朝方に起きた地震。ソイツは粗末な俺の部屋をガッタガタに揺らしてくれたが、そのお陰でちょいと前に購入した宝くじが出てきた。買ったはいいがどこかに無くして、だから部屋を掃除した時にうっかり捨てちまったんだと諦めていたのだが……だが幸運はこれだけじゃなく、何と複数本の当りつきだった。


 金額は十万と今まで使った金額からすれば端金はしたがねだが、でもこんなに当たった事なんて今まで一度も無い。ツイてるじゃねーか。アレだ、これはきっとバーサンの遺品整理をしたからだろ?なら次は墓参りくらい言っとくか、ゲン担ぎは大事だもんな。

 

「不幸の後に幸運は……」


 まただ。また聞こえた。俺は周囲を見回したが、そもそもここは俺の部屋で一人暮らしだから誰かがいる筈も無い。何だ?あの声……恐ろしく透き通りながらも何処かゾッとする様な冷たさを感じる声の主を探す為にオレはもう一度部屋のアチコチに視線を移すが、でも取り立てておかしな部分は……と、そんな事を考えているとガサッと何かの音がした。


 次は何だよ?何か分からない声の正体が分からず苛つきながら音の方向を見ると、ソコには……バーサンの遺品整理の時に捨てたお守りが転がっていた。確かにコレは捨てた筈だ。いや、もしかしてこの声と関連があるのか。全く持って有り得ないが、でも俺の頭には何故かそんな荒唐無稽こうとうむけいな考えが浮かんでいて、更に確実にそうだとさえ思っていた。

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