第82話 日本では

 今年、2022年、読んで頂きありがとうございました。7月25日からアップさせて頂きましたが、思った以上に、大勢の方に読んで頂き本当に感謝しています。


 2023年も何とか頑張って、更新して行きたいと思います。どうかよろしくお願いします。


 2023年がいい年でありますようにと願っています。本日は短いですが読んで頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。



 ◇◇◇



「お前、なんでここにいる?」

 大熊はドアフォンに顔を押し付けている女に呆れて返事した。


「え?いいじゃないですかー。いい酒を手に入れたんですよ。一緒に呑みましょうよ先輩」

「たくー。相変わらず、お前は押しが強いな」

「そんな、誉められても、プロポーズは……」

「だから、誉めてねーって。でか、毎回それ言うな」

「(もう、いい加減、してくれてもいいんですけどね。)それより寒いんですけど。入れてもらえます?」


 溜息混じりに、渋々と神田を中に入れる大熊だった。


「嫁入り前の女性が、独身男の部屋に一人でノコノコやって来るな」

「せんぱーい。もう、古ーい!一体いくつなんですか?!ハイ、これ」


 神田は近くのスーパーの袋とお酒が入っているであろうカバンを見せると、嬉しそうな顔で家の中へズカズカと入って来た。


「お前、何しに来たんだ?そう言えば、ご機嫌だな?」


 そう言う大熊に、顔をゆがめる神田。


「の、はずないですよ。この顔はフェークで、実はCGなんですよ。この所JDSA上層部からの連日の事情聴取、というか圧迫が相当キツイんです。かつ丼を出されたら、もう、やってもいない犯行を自供しそうでしたよ」


「そうか?で、どんな犯罪を犯したんだ?自首したら罪は軽くなるぞ」


「ごまかさないでくださいよ。自由の女神ダンジョンの件じゃないですか。もう、後始末が大変だったんですからね。だから、少しは、ねぎらってくださいよー」

 

 と言いながら、勝手にキッチンに入り料理をしだした。


「先輩の事だから、毎日、出前かコンビニでしょう。ちゃんと栄養のある物食べてます?シーカーは身体が資本なんですからね。」


「分かってるよ。てか、お前はおふくろか」

「だったら、嫁になってもいいんですよー」

「はいはい、冗談はいいとして、ところでJDSAはどう言う見解なんだ?蓮の事は隠し通せたのか?」

「それなんですよ。日本チームからは誰一人として蓮の事をチクる者はなかったんだけど、ただ、あなたたちが助けた合同チームから漏れたみたいです」


 大熊は女神ダンジョンを攻略し、そこから出た後、USDSAからの感謝と言う名目での事情聴取を受けていた。相当のプレッシャーであったのだが、『英語、わかりませーん』って事で、JDSAに丸投げして逃げた訳だったが。


 ただ、S級シーカーの所属国の国民からのSNS等での圧力がかなりキツい。


 そりゃそうだ。自国の英雄がいなくなったダンジョンが無くなったわけだ。簡単に許容出来るはずがない。そこを失くしたであろうチームへの風当りは強い。


「なんか、跳びぬけての走り回ってたのがいたんだけど、アレは誰だ?って、散々聞かれたんですが、私はその現場にいなかったから分かりませーんって、何とか誤魔化したけど、先輩もなんか聞かれました?」


「ああ、俺らも色々と聞かれたけど、そう言っても何ら証拠なんてないしな」


 大熊も神田も、蓮の無事を祈る事しかできない事が無念でしかなかった。


「俺もあっちに行けたらいいんだけどな」


 蓮から聞いたあちらの世界に行ってみたいと思う大熊だった。

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