第63話 ゆっくりはできません
今、僕はニューヨーク行きの飛行機に乗っている。もちろんエコノミーだ。
何故僕が飛行機に乗ってるかと言えば、JDSAの神田さんにお願いされて自由の女神ダンジョンのS級シーカー捜索チームに日本代表の荷物持ちで参加する事になったからだ。
アメリカから『日本のA級シーカーを捜索に参加させろ!』という『お願い』が来たのだが、なんと言っても女神ダンジョンは最上級の難易度で、その為なかなか承知してくれるチームがおらずJDSA本部も頭を悩ませていたのだが、なんとか期限までに参加チームが決まった。
だが、そのチームのリーダーは何故か僕に荷物持ちのオファーを出したとの事。僕が参加しないと、参加は辞退すると言ってきかないそうだ。
彼のファイルを見せて貰ったところ、そのリーダーさんに見覚えはあった。クマさんのような風貌で、仏頂面で僕がつくったキャンプ飯を黙々と食べてた人だ。
僕としてはS級シーカーが異世界に転移したダンジョンなのだから、これ幸いと了承する事にした。実は勇者達が現れたと言うダンジョン情報を、念のため聞いていた事も幸いだった。
それにだ、ニューヨークだよ。自由の女神だよ。一度行ってみたかったんだよね。
◇◇◇
両親に連絡をした後、JDSAの神田さんに連絡を入れたのだった。すると僕の生還をとても喜んでくれ、すぐに東京行きの手配をしてくれたのだ。
その神田さんは今、JDSA本部へ在籍しているとのこと。それは、彼女の担当だった公園ダンジョンが、なんと消滅してしまったからだと言うのだ。
僕が崩落に巻き込まれた後、ダンジョン内の魔素は徐々に薄れて行き、それに伴い魔物は減り続けた。そして最後は最下層にあったダンジョンコアの光も消えて、ダンジョンは跡形もなく消滅してしまった。
異世界への繋がりが途切れた事で、魔素の枯渇でのコアの力が消滅って事ですか?
うわ、それって僕のせい?僕が魔の森のコアを破壊した事での現象って事?
(……これは、とても言えない。)
神田さんは空港まで迎えに来てくれ、そのままJDSA本部まで連れていかれてしまった。そこで、内密にしてほしいと言う条件で、異世界に渡った事を正直に話した。最初は半信半疑の感じだったが、少しだけだけど、僕が手に入れたスキルを見せた所、なんとか信じてくれたようだ。
「そう言えば蓮君、なんか雰囲気変わったわね。前はいつも俯き加減で人の目を見ないし、オドオドしていて、言っちゃ悪いけど捨てられた子犬のようだった。なのに、今は真っすぐに私の目を見て、しっかりと話しているわね」
「まぁ、その自信なげな姿が、母性本能を擽られてたんだけどね」
などと言いながら、何故か少し残念そうだったのは解せん。
だけど神田さんは僕に優しく微笑んでくれた。そして、
「あちらの世界で、いい出会いと経験をしたのね」
「はい!」
僕は、大きく頷いて力強い声でそう答えた。
◇◇◇
飛行機の中で、僕は自分のステータスを開いて眺めてみた。いつの間にかレベルが35になり、ガデスハンド(女神の手)もLv2へと上がっていた。
************************************
<ステータス>
名前 : 新田 蓮(あらた れん)
性別 : 男
年齢 : 18歳
レベル : 35
HP : 345 (+15%)
MP : 159 (+15%)
STR : 108(+25%)
INT : 139(+25%)
DEF : 101 (+15%)
RES : 105 (+15%)
DEX : 156 (+10%)
AGI : 90 (+10%)
LUK : 59
魔法 : ・火・土
『職業:ガデスハンド(女神の手)Lv2』
・女神のぬくもりII(自らの気を注ぎ世に出たものを進化させる力)
[知]・言語理解・詳細鑑定
[精]・浄化・飲み水整水・ポーション、エリクサー精製
[癒]・各種回復・状態異常無効
[感]・周辺MAP制作・気配察知
[投]・石投げ・気合・共鳴
[勇]・剣術II
[魔]・付加(火、水、氷、雷、風、光、闇、浄化)
[他]・アイテム収納(大)・釣り(X)・着火
称号:女神の代理人
<シンクロナイゼーションII>→
[同期] ・ [解除]
<肉体強化>強化時間25分
<隠密>→
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名前:孤高の剣
素材:ヒヒイロカネ
基礎効果:攻撃力+240 攻撃魔力+60、闇系にダメージ+10%
追加効果:自分より強い相手に攻撃力倍化効果。
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ガデスハンド(女神の手)もLv2になった事で、ステータスの数値も全体的に上がった。<女神のぬくもり>がIIとなっている。リンゴを成長させれる力がアップしたって事だろう。
また<剣技>IIに上がった事で、万が一、女神ダンジョンで何かあっても、なんとか対応できるだろう。
それと、何気に<シンクロナイゼーション>がIIってなってる。これは、ダンジョンに入って確認しないといけない。ダンジョン間の転移が安易に出来るようになってたらいいんだけどな。
そしてだ。
もちろん僕の収納には片っ端から日本の食材や調理器具等を詰め込んでいる。もちろん大量のお米や醤油、味噌等の調味料も忘れない。皆へのお土産もだが、オッサンへのお酒もちゃんと用意しているのだ。
むふふふ、なんかついつい笑みがこぼれてしまう。
「よーし!これだけあったら、何でも作れちゃうぞーーー!」
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