第53話 名付けは難しいのだ
邪神の復活が近いという話があって、精霊樹の復活を少し急ごうという事になったようだ。職業のお陰で僕のステータスにかなりの補足が付いたこともあって、僕のレベルを50まで上げないでも大丈夫とのことで、前倒して行こうという事になったみたい。
(皆、焦ってるよな……。)
まぁ、それは、仕方がないことだとは思う。僕は地球の人間だから、ここの神への崇拝も真の恐怖も理解できない事だから、危機意識が今一つ薄いんだよね。
王都のギルドに報告した後、オッサンはまだここに用事があるとかで、3日後にターラントへ帰る事となった。そこで、久しぶりのフカフカのベッドに横になって、子犬を抱き枕にし、最上のモフモフを楽しんでいる僕。
日本では、それなりの適当に、なんとなく無難に生きてきた人間にとって、この所の高密度な経験は、自分が思っていた以上に成長したかもって思うんです。
「だって、男の子なんだもん♪」冒険したいよね。
『旅の途中でどれだけ楽しいことをやり遂げているかが大事なんだ…、
旅の過程にこそ価値がある。』
とか言った某社の創業者さんいましたね。旅の過程か…。
ターラントから王都への旅。王都へ着いた後すぐに神殿ダンジョンに挑んでの色んな密度の濃いあれやこれや。旅行って言うより修行しながらなので、とてもキツかったけど、なんだかんだと実は楽しかったかもです。僕、本当は、ワクワクしてたかもしれない。
とは言え、キツイことはキツイ。
(はぁ~、、、やっぱ、モフモフは最高っす。癒される~。)
「疲れたろう…。僕も疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ……」
パトラッ…、いやいや、そんなこと言ってる場合じゃなかった。子犬の名前を早く決めてやらないとなぁ…。うーん、真っ白だから『シロ』『ユキ』『スノー』『白雪』『ミルク』『しらたき』『おにぎり』『豆腐』『おこめ』……。だめだ、どんどん食べ物になってくる。。。
(真っ白だから『白雪』とかどうかな?白雪姫で赤いリンゴ、ここのリンゴもどきは白いのもあるんだよな。だめだアップルから離れられなくなってきた。もう”リンゴ”でいいんじゃねぇ?うわぁ~ん、ネーミングセンスがダメダメすぎる……。
すると、子犬は虹色に光り点滅しだした。
「あれ?あれ?!名前が決定してしまったのか?!」
そして、名付けてしまった事で、子犬にステータスが付いたようだ。点滅が収まったので鑑定してみると、、、
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名前 : リンゴ
年齢 : 0歳
レベル : 1
□スキル:
<応援>可愛いポーズで応援した者のテンションを上げる
称号:女神の眷属、女神の代理人のモフ友
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「モフ友に、、、か、か、かわゆく応援されるのか~!早く応援されてーーー!」
と、モフ友を抱きしめて悶絶してたら、部屋のドアをノックする音が聞こえた。そこでドアを開けたら、そこにはネコ先生が立っていた。
「あれー。先生どうしたんですか?」
ネコ先生は「休んでるところ、申し訳ないのにゃ」と言いつつ、少し相談があるというのだ。そこで部屋に入ってもらう事にした。
ネコ先生は、神殿で『賢者』という職業をもらってかなりビビッているようなのだ。
「私に賢者なんて上級職業が務まるんにゃんて思えないにゃ。レン君、お願いにゃー、私と一緒にダンジョンに行ってくれにゃいかにゃーーー?」
王都の西門から出て少し行った所に初心者向けのダンジョンがあるそうだ。そこに出る低級~の魔物に、賢者の魔法をばんばん試して、レベルアップも図りたいとの事。
「兄様に相談したら、そのダンジョンを推薦してくれたのにゃ」
自分一人で入るのに少し心配だし、蓮も新しい職業を上げようと思っているのなら、良かったら一緒に行かないかの誘いであった。
僕だって新しい職業を試してみたいし、レベル32では心もとないから、もう少しレベルアップしたいと思ってた。これは渡りに船。僕だって望むところだ。
初心者ダンジョンだってことなので、二人で行く事に了承した。もちろん、リンゴも一緒だ。
だが、その前に、ネコ先生に魔法をガンガン打ってもらう為にMP回復ポーションを用意する事にしようと思う。MP回復ポーションを作る材料はエルダさんの所で修行した時にかなりの数を採取していたため問題はない。
ポーションを作るためには原料を発酵させたり蒸留し熟成させるなどの過程にとても時間がかかる。また調合、割合を少しでも間違うと低級になったり、全く使い物にならないものが出来たりするのだ。そして最終的に濾過したものに錬金術を施し完成品が出来上がる。
その為、一人前の薬師になるためには、相当年数の修行と熟練技術が必要になってくるわけなのだが、それが『ガデスハンド』のお陰で、今は一瞬で出来ちゃうのだ。
「エルダさ~ん、ホントマジすいません。。。」
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