初心者ダンジョン
第52話 ガジガジされる蓮
神殿ダンジョンから帰還し王都の冒険者ギルドに報告に行くと、待っていたとばかりに、ギルドマスターの部屋に全員が呼ばれた。
そこでオッサンが代表して、神殿ダンジョンで起こった事の全容や無くなった事の経緯をギルマスに説明してくれた。
神の眷属である神獣は、ダンジョンの一部ではなく独立した存在であり、神殿ダンジョンのコアを女神の意思で守っていた事、そして女神の願いを叶えられた事で、自分の役目を終わらせた事を説明すると、ギルマスも納得してくれたようだ。
「ところで、そのレン君というのか?彼の頭に乗っているのは何かね?」
ギルマスは、蓮の頭に乗っている白い子犬を見て問いかけてきた。
実は、ギルマスとオッサンが真剣な会話をしている最中、蓮の腕の中にいた子犬が急に駄々をこねだした。場所が場所なだけに、彼にじゃれる子犬を何とか落ち着かせようと健闘していたのだが。それがまるで子犬同士がじゃれ合っている光景にしか見えず、ギルマスも気になって仕方がなかったようだ。
◆
―――蓮は、神獣がダンジョンごと自らを封印したあと、ハンドボールの大きさほどのタマゴを抱えて頭を傾げた。神獣が言った言葉『ガデスハンドでこの子は目覚め、あなたを導いてくれる』って何だろう?
そこで、自分のステータスを確認してみる事にしたのだ。
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<ステータス>
名前 : 新田 蓮(あらた れん)
性別 : 男
年齢 : 18歳
レベル : 32
HP : 320 (+10%)
MP : 130 (+10%)
STR : 99(+20%)
INT : 118(+20%)
DEF : 81 (+10%)
RES : 96 (+10%)
DEX : 141 (+5%)
AGI : 81 (+5%)
LUK : 57
魔法 : ・火・土
『職業:ガデスハンド(女神の手)Lv1』
・女神のぬくもり(自らの気を注ぎ世に出たものを進化させる力)
[知]・言語理解・詳細鑑定
[精]・浄化・飲み水整水・ポーション、エリクサー精製
[癒]・各種回復・状態異常無効
[感]・周辺MAP制作・気配察知
[投]・石投げ・気合・共鳴
[勇]・剣術
[魔]・付加(火、水、氷、雷、風、光、闇、浄化)
[他]・アイテム収納(大)・釣り(X)・着火
称号:女神の代理人
<シンクロナイゼーション>→
[同期] ・ [解除]
<肉体強化>強化時間22分
<隠密>→
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名前:孤高の剣
素材:ヒヒイロカネ
基礎効果:攻撃力+240 攻撃魔力+60、闇系にダメージ+10%
追加効果:自分より強い相手に攻撃力倍化効果。
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「これって、なんか最強なんじゃねぇ?」
そして、<女神のぬくもり>によって誕生したのが、今、蓮の頭をガジガジと噛んでいる真っ白い子犬だった。名前はまだつけてない。
そして、この子犬が女神の眷属で神殿ダンジョンの神獣の後継者だと知ったギルマスは、盛大に感謝の意をしめしてくれたのだ。
感謝してくれたのはいいが、この子犬を成長させなくてはいけないわけで、それは蓮でないとできない事のようだ。その上、精霊樹を復活させなければいけない。時間がかかりそうなんで、感謝してもらうのはちょっと早いと思う蓮だった。
「そう言えば、坊主、実はな神獣の話を聞いていて腑に落ちた事があったのじゃが」
オッサンはギルマスに向かって、あの事を言ってもいいだろうかとの確認を取ると…。おもむろに口を開く。
「勇者はお前の世界の奴らなんじゃろ?」
「えええ、勇者いるの!?この世界って本当に勇者っているんですかー!」
そこで、オッサンの口から、クレマント公爵と5人の勇者の話を聞くこととなった。女神が放った6つのオーブ。オッサンはその勇者こそが残り5つのオーブの所有者ではないかと考えたようだ。
「彼らは、どうも王国と帝国のいざこざに巻き込まれているようじゃ」
オッサンは強大な力を持つ5人の勇者とベルディエルを倒す力を持つ5つのオーブ。帝国と勇者それと復活が近い邪神。どうしても関連があるとしか思えないようなのだ。
蓮はその話を聞きながら、そこで初めて自分が何か途方もない事に巻き込まれてしまったのでは?と気づく。気づくのが遅いとは思うのだが、それが蓮なのだからしかたない。竜や神獣の話を聞いても、他人事のように感じていて、「邪神は別の人が倒してくれるんでしょ」って軽い感じで思っていたからでもあった。
そもそも精霊樹を復活させれば、日本へ帰れるかもという思いで協力する事にしたのだが。
「僕って、もしかしたら、なんか大きな事に巻き込まれてしまったんじゃない?」
って事に気づき、そこで戸惑う蓮。
だが、オッサンから勇者達の名前を聞いて蓮は絶叫してしまった。
実は、蓮はかなりのシーカーオタクで、S級シーカーである彼らの情報をいつもネットでチェックしていたからだ。すごく憧れていた蓮のヒーロー達。
「えええ!もしかしたら勇者って、僕の憧れで、英雄達かもですよーーー!」
絶対に近づく事が出来ない雲の上の存在だと思っていた人たち。基準は分からないけど、その英雄達と同じく自分もダンジョンに選ばれたのだと知った蓮は、今さっき戸惑ったこともそっちのけで、有頂天になってしまった。
にまにまが止まらない。彼らに会えるだろうか?会えたらサイン貰えるかな?握手してもらうんだ!なんて事をこの状況で呑気に考えていたら、子犬に思いっきり頭をかじられた。
「きー!こいつ、絶対、僕の考えが分かってるよな」と思ってしまう蓮だった。
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