第23話 ダンジョンへ出発
パカポコパカポコと、あまりサスペンションの効いてない荷馬車が進んでいく。王都への街道と違い、こちらの道は、かなり腰やお尻に優しくないです。
そもそもサスペンションは、馬車にスプリングが装着されて進化したわけだけど、この荷馬車と言えば、革製のストラップが衝撃を吸収はしてくれてるんだけど、さすがにこのインフラ整備じゃ、乗り心地は最悪だ。ましてや、橋だとか石だとかの快適ゴムのタイヤもないようだし。
日本から、こちらの世界へ某スライムとかが転生してくれないかな?とか、飛行魔法とかないんかな?とか、馬車酔いで半分死にかけてて、そんなつまらん事を考えながら、開拓村への道を進んで行く。
開拓村と言っても、ターラントの麦畑を広げよう計画とかで、農家さんの拠点となる村なんだそうだ。なので、街からそう離れていない、水や肥料の確保が容易で水はけのよい土地が選ばれたのだとか。
そんな所に、隠れたダンジョンがあったなんて、大変な事なのだ。折角、見通しが立って来たところに、この問題。領主も頭を抱えていたらしく、ギルマスに相談してきていた。そんな時、僕がコアを破壊出来る事を知って、渡りに船、これ幸いと、押し付けてきたと言う訳だ。
オッサンとアリシア、ガリオンさんに僕の四人は、ギルドに集まると、ギルドから貸し出された荷馬車で、目的地に向かっている最中なのだ。
「ガリオンさん、息子さんは、大丈夫なんですか?」
と、アリシアは心配そうに聞いている。
「ええ、メルベルさんが、孤児院のシスターにお願いして頂いて、私がいない間、面倒をみてくれる事になりました。同じ年齢の子供もいて、楽しそうにしていましたよ。これで、安心して仕事ができます」
その上、今回の仕事は、自分の助けてくれた冒険者とパーティーを組んでだと伝えると、眼をキラキラしてたそうだ。
「そうか、オルブロは仕事が速いな。ところで、今回のダンジョン攻略なんじゃが、主な目的は、このレンのレベルアップじゃ。ただし、寄生プレイだと意味ないんでな。しっかりとした強さが身に着くよう、バシバシ戦ってもらう。こちらは、サポートに徹するつもりじゃ」
そう言うと、僕の顔を見て、ニヤリと笑う。
「ガリオンには、こいつにダンジョンにおける罠の発見や構造の違いによる戦闘の仕方を実践で教えてやってほしい。レンも彼の行動をよく見ておくように。あとは、強敵が出たら、お前のスピードを生かし、一撃いれてやってくれ、その後、レン1人に仕留めさせる。それと宝箱が出たら罠解除を頼むぞ」
「アリシアは、レンの攻撃が、他のメンバーに当たらないよう、わしらに結界を頼む。そんな所かな」
師匠は、何をするんですか?と僕が確認したら。
「わしか?わしは、後ろで高見の見物よ。お前さんが魔物達との戦闘であたふたしてるのを見るのも楽しいもんじゃろな」
そう言いながら、豪快に笑う。僕はこの時、いつか、ギャフンと言わせてやると心に決めたのだった。くっそー!
◇◆◆◇◆◆◇
昨日は、『エルダばぁちゃんの薬屋』からオッサンの工房へ到着すると、作業所には、燃え盛る火を前に、大勢のドワーフ達が作業をしており、ハンマーで金属を打つ音が響いている。
その奥で、腕を組んだオッサンが、作業を見守っているようだ。僕たちを見つけると、奥へ来るようにと手招きする。
ポーションの事を伝えると、それじゃ仕方がないと、納得してくれた。オッサンは、弟子たちに、僕の武器を作らせているようで、明日はそれを持って来ると言う事で、朝一番に冒険者ギルドで落ち合う事としたのだ。
そして、今に至る。
僕の収納には、大小の大量の撒菱(まきびし)とソフトボール大のとげとげの付いた鉄球、それと、持ち手の付いたブーメランのような飛刃剣だ。僕の持ってた通販購入7000円の鉈より強度があり、攻撃力も高いそうだ。
そして、エルダさんが作ってくれた各種ポーションたち。
防具制作は、まだしばらくかかるそうで、なので今回の装備は、昨日出してもらった革製の上下と、胸当て、そして、今まで使っているグローブとブーツ。
腰には、サバイバルナイフだ。
これらを使い、これから僕は、ほぼ一人でダンジョン攻略を行う事になるのだ。
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