第2話とある角打ち
名古屋市東区の角打ち(立呑屋)で、赤星(サッポロラガー)を飲みながら、刺し身と焼き鳥を食べていた。
角打ちに来る連中は、アル中予備軍かじいさんしかいない。コの字のカウンターを背にして、壁側を向いて飲んでいると、若い女の子の声が聞こえる。
空耳だ!だれが、こんなアル中予備軍のたむろする角打ちに女性が来るって言うんだ?ありえん。
僕は振り向いた。
すると、あんまりかわいくないが、20代のていをした女の子が赤星を飲んでいた。隣のおじいさんは、何が嬉しいのか泣き始めた。
店主が、「あんた、今日は飲み過ぎだからこれで、帰りなさい!」と、言い渡され残りの日本酒を飲み干すと退場した。
女の子は、手当たり次第におじいさんに声を掛ける。
この新参者を女性店主は眉を潜めてにらんでいた。
彼女は出身は九州の佐世保らしい。この角打ちは木製の器に小銭を入れておけば、注文と同時に代金をちょうだいしていく設定。
店主に今日のサラダは何か尋ねていると、女の子がトイレから戻り僕の横に立つと、
「お兄さん、小銭盗んだでしょ?」
と、ほざく。
「うるせぇよ!ガキ」
僕はマカロニサラダを貰い、瓶ビールの3本目を飲んだ。
バカ女は、次の店にわたしを連れてって!とわめき、バカなジジイが鼻の下を伸ばし、向かいのおでん屋に連れて行った。
金輪際、あんな失礼極まりないゲス女は来店してもらいたくない。
それから、その角打ちに数回行ったがアノ女とは出会う事はなかった。
底辺が集まるこの角打ちはもう、15年間利用しているが、場末感があり僕は結構この店が好きだ。
仲良しの2人組位がちょうど良い店。
足の調子が良い時だけ利用している。今年は、まだ一回も行ってない。
おじさんがシガーケースにわかばを入れているのをよく見かけるが、あれはわかばに対しての礼儀なんだろうか?
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