阿呆が見た人間模様

羽弦トリス

第1話牛丼屋の風景

午前中の10時過ぎに、牛丼屋へ行く。

店員が近づいてきたが、瓶ビール!と言ってメニューを開いていた。いよいよ、ビールが運ばれ、しじみ汁のみ注文した。

店内は、朝定食を食べている青年が2人。

誰もビールを飲んでいない。一寸、寂しい。

僕は餓えている。友と飲む酒に餓えている。

誰も相手してくれない僕は、しじみ汁をつまみに瓶ビールのお代わりを注文した。

しばらくすると、店内は僕1人になってしまった。

時間帯が中途半端だからだろうか。

そこで、自動ドアが開いた。


髪の毛がマッキンキンのカップルがお持ち帰り用の弁当を1つ注文していた。

男は彼女の持ち物を両手にしていた。隠しもしない生理用品まで持たされていた。

彼女はなぜか、ウサギの人形を抱えていた。

暇だから、彼らの様子を眺めていた。

出来上がった弁当も彼氏が持ち、支払いも彼氏だ。

彼氏は(断定的だが)は、もしかしたら夫かも知れない。

現代は髪色自由の仕事は数多とある。

彼らの支払いが済んだら、自分も勘定した。

先ほどの彼らは、僕よりましだ。若いし、元気だし。

僕は限りなく、チェックメイトである。

起死回生の一手が出ればいいのだが。

彼らが、羨ましく思えた。

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