七 奈津実VS占い師髙山大仙斎
山本は、まだ悩んでいた。奈津実がどうしてあんなにまで、神の存在に拘(こだわ)っていのるか、山本にはわからなかったからだ。まして、自分も見ていない占い師の老人のことを、恵比寿神社の神さまに違いないと言い切るのだから、ほとほと手を焼いているというのが実情だった。
例え山本が「この世には、神さまなんていないの。だから、それはただの占い師のじいさんなんだろう」と、いくら説得しても「そうじゃないわよ。あのおじいさんは絶対に恵比寿神社の神さまだわ…」の一点張りで、到底山本のいうことなど聞き入れるはずもなかった。もうこうなると、『思い込んだら命がけ』ではないが、山本に負けず劣らず奈津実も頑固な面を持っていた。
「ふーん、類は類を呼ぶ。か…、まあ。それも仕方がないか…、お前らはホントにお似合いだよ」
「何を云ってやがる。やい、耕平。オレは奈津実がなんて云おうと、神なんか絶対に信じないからな…。『光あれと言われた。すると、そこに光があった。こうして神は七日間かけて、地上にあるすべてのものを造られ、最後に自分の姿に似せて人間を創られてた…』か…。へ…、たったの一週間で地球ができて堪るかってんだ。地球は、そんな手作りプラスチックのプラモデルじゃないんだぞー。バカヤロー、クソー…」
「でも、それって、キリスト教の旧約聖書に出てくる話だろう…。日本の神さまとは、あまり関係ないんじゃないのかなぁ…」
腹立ちまぎれに、山本は靴のつま先で小石を蹴り上げた。蹴られた小石は空中高く舞い上がり、近くの藪の中に落ちた。
「山本、いつまでもこんなところにいてもしょうがないよ。そろそろ帰ろうか」
耕平が山本を促した。先ほどまで耕平の部屋で話していたのだが、山本がいらいらを増すばかりなので、見るに見かねた耕平が恵比寿神社に誘い出したのだった。
「山本…。お前が神さまを信じなくたって、奈津実ちゃんが信じているのなら、それでいいとは思わないのか…。お前は…」
「もう、いいよ…。その話は、何だかオレも段々バカバカしくなってきた。第一、神さまなんかいようがいまいが、オレにはなんの関係もないんだからな…。さあ、帰ろ帰ろ…」
と、いうことで、山本のイライラもやっと収まったようで、ふたりは揃って恵比寿神社から帰って行った。
あくる日になると、山本は奈津実の家を訪れていた。
「あら、珍しいのね…。徹さんがわざわざあたしン家を訪ねてくるなんて、どこか具合でも悪いんじゃないの…」
「そうやって、いつもオレのことを変人扱いにするなよ。でも、もういいんだ…。奈津実が神さまを信じたきゃ、信じればいいさ。オレはもう、そんなことには拘らないことにしたんだ」
「なーに…、そんなことをわざわざ云いに来たの…。やっぱり今日の徹さん、どこか調子が悪いんじゃないの…」
と言って、奈津実は山本の額に片手を当てた。
「だから、オレはどこも悪くなんかないって云ってるだろう…。オレは悟ったんだ。人はみなそれぞれで、考え方や感じ方が違うんだから、十人いればそれだけいろんな考え方や、物の見方も違ってきて当然だとね」
「へぇー、徹さんでも悟ることなんてあるの…。まるで、お釈迦さまみたい…」
「バカ云え、お釈迦さまが悟れたんだ。オレにだって、それくらいのことは悟れるさ…。だから、もう奈津実が神さまを信じようと何しようと、オレは一切気にしないことにしたから、神さまだろうが仏さまだろうが信じればいいんだよ。ああ…、すっきりした。さぁて、家に帰って原稿でも書こうかな…。ほんじゃ、またな…」
山本は帰って行った。残された奈津実は、ひとりで首をかしげていた。
「やっぱり、今日の徹さん少し変よ。あんなことをわざわざ云いに来るなんて…」
奈津実も山本も耕平も、それからまた何気ない日々を送っていたが、それでも奈津実の中では相変わらず、占い師の老人イコール恵比寿神社の神さまではないか。と、いう固定観念が根強く燻(くす)ぶり続けていた。そんなある日、奈津実は意を決したように恵比寿神社へと足を向けていた。今度こそは誰にも見つからないように、この前みたいに山本や他の人に見止められないように、駆け足に近い急ぎ足で神社へ向かっていた。
石段を上がる前には、後ろを振り向いて確認もしたが、周りには人っ子ひとり見当たらなかった。誰もいないことを確認した奈津実は、やっと安心した思いで境内に入って行った。境内の中は深閑としていて、どこかで鳥たちのさえずる声が聞こえるだけだった。
『やっぱり、ここはいつ来ても静かね…。お祭りの時の賑やかさがウソみたいだわ…。そうだ…。たまにはお参りもしなくっちゃね。せっかく来たんですもの…』
奈津実は小銭をお賽銭箱に入れて、両手を合わせると首(こうべ)を深く垂れた。
「おお、またお逢いしましたな。お嬢さん…」
後ろから声をかけられた。聞き覚えのある声だった。奈津実が驚いて振り向くと、祭り夜に自分の手相を見てくれた老人が立っていた。
「あ…、おじいさん…。それではやっぱりあなたは…」
「ご推察の通りじゃよ。お嬢さん、そなたたちが考えている神とはいささか違うが、そのようなものであることには違いはあるまい…。それをそなたは見事に見抜いたというではないか。佐々木亜紀子と申す者から聞いてはいたが、どうやらそなたは並外れた能力の持ち主のようじゃな。
そのそなたの能力に包み隠さず教えて遣(つか)わそう…。この宇宙に何もなかった頃、無なる一点が突然大爆発を起こしたのじゃ。そして、この爆発によって空間・時間・物質が生み出されたのじゃ……」
そういうと老人は、もの凄い量の過去の記憶を奈津実の中に送り込んできた。
「キャァァァ………」
あまりの衝撃に奈津実は卒倒していた。だが、卒倒はしていても奈津実の身体は立ったままの状態だった。そして、気がつくと奈津実は何もない真っ暗な空間に立っていた。
『ここはどこ…、何も見えないわ…。誰か助けて…』
奈津実は叫んだつもりだったが、その声は音としては成立しなかった。
そして、何もない空間が突如として膨大な光を放って行った。
『見よ、これが宇宙の誕生じゃ…』
どこからともなく老人の声が聞こえてきた。早送りされた映像を見ているように、拡散してガスが寄り集まって小さな星々が次々と生まれ、瞬くうちに無数の星雲が誕生していった。やがて、その片隅にさらに小さな恒星が生まれ、周りには十個ほどの惑星が周回していのが見て取れた。
『あれが、そなたたちの住む太陽系じゃ…』
また、どこからか老人の声が聞こえてきた。
すると、奈津実の身体は空間を一挙に飛び越して、原始地球の上に移動していたが奈津実の周囲では、目まぐるしいほどの猛スビートで、地球そのものも成長しているのが理解できた。やがて、海の中で初めての生命が生まれ、それもどんどん進化を遂げ見ているうちに幾つかの集団が陸上へと進出して行った。
それからは次々と進化の過程を繰り返し、様々な生き物たちが生まれては姿を消して行った。何千何万という生物の進化を経て、アフリカ方面で人類の祖先の誕生を見るわけだが、それがどのようにして大陸を渡って、日本という島に渡来してきたのかについては、途中が省略されていて奈津実には解からなかった。
太古の日本は大陸と陸続きであったために、北はサハリンや朝鮮半島などを経由して、食料である獣を追ってきたのが始まりである。やがて、氷河期が終わりを告げると温暖化が進み、海水位が二メートルほど上昇したために、日本列島はほぼ現在の形になったというのが定説である。
『もう、結構です…。わたしのことを元の世界に戻してください。おじいさま…』
奈津実は姿の見えない老人に哀願していた。
『これで判ったであろう。人間の生命などいかに小さなものであるかを、そなたたちの生命などは、この大宇宙と比べたらほんの一瞬にしか過ぎぬのじゃ。
然るに、この宇宙とて人間の時間では計り知れぬ、遥か遠い未来にはいつか終焉を迎える時もあるのだ。それまでの永い時間を隔てる間には、人類も滅び去る時もあり取って代わって、台頭してくるものたちも出てくるだろう。
それが大宇宙の真理であり、全宇宙に共通して云える本質でもあるのだ。だから、そなたたちも欲得を考えず、ただひたすら生きる努力を重ねればそれでよい…。云うことはそれだけじゃ。さあ、帰るがよいぞ。元いた世界へ、そして、くれぐれも忘れるでないぞ。ただひたすら生きることを…。それから、もうひとつ付け加えておけば、いまわしと話したことはすべて消去せずにおく、いずれ長い期間をかけて忘れ去ることになるだろうがのう…。それでは帰るがよいぞ。下原奈津実、さらばじゃ…』
老人の声とともに、奈津実の意識は薄れて行った。そして、気がついた時には、恵比寿神社の境内に自分が横たわっていた。
『あれ…、あのおじいさんは…』
奈津実は思い出していた。あれは夢か幻か現実だったのか、宇宙の誕生から数々の銀河、そして太陽系・地球やその他の惑星の誕生。さらには地球上の生命の黎明期。滅び去るもの、新しく生まれ出づるものと様々な生と死の盛衰。やがて、人類の始祖の登場となるのだが、それも永い歳月をかけて一代文明を築くが、それさえもいずれ衰退の道を辿るという。一体、生命とは何なのか。文明とは何なのであろうかと奈津実は思った。
しばらくの間、奈津実は神社の境内に佇んでいた。
『やはり、あのおじいさんは思った通り、「そなたたちが考えているような神ではないが、そのようなものには違いあるまい…」と云っていた…。だけど、あたしらが考えている神さまと、あのおじいさんの云っていた、神(もの)とはどんな違いがあるんだろう…。
あたしには「そなたの能力に免じて、包み隠さず話してやろう」って云ってけど、宇宙や太陽や地球ができた瞬間なんて、あたし全然考えてもみなかったけど、みんな、ああしてできたのかぁ…。でも、あのおじいさんはあたしが思った通りの、神さまとは違うも知れないけれど、やっぱり神さまは存在してたんだぁ…。それを全部あたしに送って見せてくれたんだ…。もう、あたしの前には姿を見せてはくれないわね…。
今日、おじいさんから聞いたことは、あたし一生誰にも云わない…。誰にも云わないで、あたしだけの大事な宝物として死魔っておくから…』
知らず知らずのうちに、奈津実の頬にはひと筋の涙がこぼれ落ちた。
「さようなら、神さま…。さようなら、おじいさん…」
奈津実は、小さな声でつぶやくように言うと、社に向かって静かに手を合わせると、恵比寿神社の境内から立ち去って行った。
そんなことがあってから、二・三日が過ぎ去った。
奈津実は、今日も山本とふたりで公園にきていた。平日ということもあって、公園には人影もまばらだった。
「奈津実、お前最近はやけにすっきりとした顔してるけど、一体どうしたんだよ…」
「あたし…、どうもしないわよ。どうして…」
「どうしてってこともないけど、この頃妙に晴れ晴れとした顔してるからさ…。それに何だか近頃は、なんていうかな…、こう…、お前の内部から出てくるような、清々しさみたいのを感じるんだよな…」
「あら、そう…。別にあたしは何も変わったことしてないけどな…」
「そうかぁ…。でも、やっぱり中からにじみ出てくような、何かを感じるんだけどな…。オレの気のせいかなぁ…」
山本も、それ以上は何も言わなかったが、奈津実には解かっていた。
あの「神」の一族と名乗る老人から見せられた、宇宙の始まりから星々の誕生、そして、太陽系の誕生から各惑星の生まれるまで、地球の進化と生物の誕生から人類の進化までを、つぶさに見せられた奈津実にとっては、老人から聞かされた宇宙の真理さえも、薄々と解かりかけていたからだった。
だから、それらの膨大な情報・知識などが、自然に浮び上ってくるのだろうと思った。
老人の言葉どおりなら、いずれ忘れ去る日が来るまでは、例え山本にでも口にしてはいけないと、奈津実は堅く心に誓っていた。
そんなことは知る由もない山本は、いつも通り奈津実と付き合っているのだから、なんという平和で幸せな男というべきだろう。
「ねえ、ねえ…、徹さん。こんど耕平くんでも誘って遊園地に行かない…。あたしジェットコースターに乗りたいんだぁ…」
「ジ、ジェットコースター…。い、いいけど…。お前はどうして、そんなものに乗りたいんだよ…」
山本は急に言われたのもあって、ビックリしたように訊いた。
「だって、面白いじゃない。天と地がひっくり返ったように見えて、おっもしろいんだもーん…」
「そ、そうか…、そんなに面白いか…」
「ねえ、それでいつ行く。そろそろ夏休みも終わりだし、早くしないと行けなくなっちゃうかも…。だから、みんなで行ってジェットコースターに乗りましょうよ」
「うん…。でも、耕平のヤツは少しでもおふくろさんを助けようとして、バイトに精を出してるみたいだし、行けるのかなぁ…」
「でも、大丈夫かも知れないし、聞いてみるだけでもいいから、聞いてみてよ…」
「うん…。それじゃ、聞いては見るけどあんまり期待しないほうがいいぞ…」
と、あまりにもパッとしない返事だった。
「それじゃ、云ってみるね。さよなら…。耕平くんには必ず聞いていてよ…」
山本と別れて帰宅の途中で、奈津実は耕平とバッタリ出逢った。
「あ、耕平くん…。いま徹さんとあなたの話をしてたの。夏休みもそろそろ終わるから、三人で遊園地にでも行かなかって…。
あたしジェットコースター大好きだから、一緒に乗りましょうって云ったら、耕平がどうのこうのって云って、あまりいい返事くれないのよ…」
「あはははは…、そりゃあ、無理だよ。奈津実ちゃん、だって、アイツ高所恐怖症だもの。ジェットコースターなんて無理、無理…。止めといたほうがいいよ。悪いことは云わないから…」
「ええ…、それ本当なの…。知らなかった……」
「なーんだ。知らなかったの…。オレはまた知ってて誘ったのかと思ったよ。アイツはね。高いところに登るとお尻の穴が縮みあがるんだってさ。可笑しいったらありゃしない…。くっくくく…」
耕平は可笑しさを堪えながら行ってしまった。
「ふーん…、徹さんは高いところが苦手だったのか…。それじゃ、この計画はお流れってわけか…、なーんだ。つまんないの…、あたしも帰ろうっと…」
奈津実も、いささかガッカリした様子で帰って行った。
これから、二・三日は山本に逢わないでおこうと奈津実は思った。山本に自分の弱みを晒させることはしたくなかったからだ。奈津実さえ口に出さなければ、そのうち遊園地に行こうといったことなど、山本も忘れてしまうだろうと思っていた。
奈津実が、山本と顔を合わせなくなってから、丸二日が過ぎ去って行った。三日目の昼近くに山本から電話がかかってきて、公園まで来てほしいという伝言を母親から聞いた。
急いで公園に駆けつけてみると、山本はひとりぽつんとベンチに座って待っていた。奈津実が隣に座ると山本が突然立ちあがり、いきなり奈津実の正面を向いた。
「ごめん。奈津実…、耕平から聞いたよ。お前はオレに恥をかかせまいとして、それでわざとオレに逢わないでいたんだな…。ホントにごめん。この通りだ…」
そういうと、山本は頭を自分の膝の辺りまで下げた。
「ちょっと、やめてよ…。徹さん、みんなが見てるじゃない。いやだぁ…」
家族連れや子供たちが、ちらっちらっとふたりを見ながら通り過ぎて行った。
「いやだわ…。どうして徹さんといると、いつも恥ずかしい思いばかりしなくちゃいけないのよ…。あたし帰るわ…。さよなら…」
「ちょっと待てよ。奈津実…」
立ち去ろうとしている奈津実を、呼び止めようとした山本だったが、
「なーんてウソよ…。あたしのほうこそ、ごめんなさい。ちょっとからかっただけよ。でも、ほんとに知らなかったんだよ。徹さんが高所恐怖症だなんてこと…」
「バカヤロー、びっくりするじゃないか。ホントに、もう…」
「でも、かわいいじゃない。高二にもなってお尻の穴が縮みあがるほど、高いところが怖いなんてさ…」
「こら、それを云うなって、しょうがねえだろう。子供の頃からなんだから…。だからオレは小さなころ頃なんて、ジャングルジムにも登れないで、よくみんなにバカにされてたんだ。だから、オレはそれ以来高いところに行くのは、できるだけ避けるようにしてきたんだ…」
ちゃめっ気たっぷりに、自分をからかっている奈津実を見て、苦笑いをしながら山本は言った。
「ふーん…、そうなんだ。それじゃね。徹さんの好きところだったらどこでもいいわ。一緒に行きましょう。どんなとこだったらいいの…」
「そうだなぁ…。急に云われても、そんなすぐには思いつかないな…」
と、しばらく山本は考えていた。
「そうだ…。海辺のほうの街に行くと、太古の昔に地球の海に棲んでいたという、アンモナイトの化石が発掘できる、アンモナイトセンターがあるらしいんだ。オレ、一遍行ってみたかっんだけど、そこじゃどうなんた。奈津実…」
「アンモナイト…、って、あの巻貝をおっきくしたようなヤツ…。あたしも話には聞いたことあるけど、見たことはないわね…。よし、百歩譲ってそこでいいか。高いところが苦手の徹さんが可哀そうだもんね…」
「ちぇ、またそれを云う…。ホントに怒るぞ。オレは…」
「いいから、いいから。だって、ホントのことなんでしょう。今回はあたしが云いだしっぺだから、耕平くんにはあたしから聞いてみるわ。耕平くん、いまいるかしら…、ちょっと行ってみるかて…」
奈津実は、山本を公園にほったらかしにして、耕平の家に行ってしまった。
「ちぇ、何だ。アイツ…、オレよりも忙しいじゃねえか…」
それから間もなく、奈津実は耕平の部屋を訪ねていた。
「何だい。奈津実ちゃん、珍しくひとりで…、今日は山本はなしかい…」
「ええ、徹さんがなら公園に置いてきちゃった。実はね。耕平くん、徹さんは高いところが苦手だって云うから、代わりにどこかへ行こうって云ったら、浜のほうにアンモナイトセンターって云うのがあるらしいのよ。
あたしも見たことないし、そこでもいいって云ったのよ。耕平くんも、よかった一緒にどうかなと思って誘いにきたの…。どうかしら…』
「アンモナイト…、いまから三億年以上も前に絶滅した云われている、巻貝のお化けみたいなヤツかい…。あれなら、オレも見たことないから行ってもいいよ」
「わあ、うれしい…。さっそく、徹さんに報告しなくっちゃ…、それじゃ、お邪魔しました。さよなら…」
これもまた、山本と同様に来たと思ったら、あとも振り向かずに帰って行ってしまった。
「やれ、やれ…。類は類を呼ぶって云うけど。ホントなんだな…」
まるで突風のように、来たかと思ったらすぐ帰ってしまった奈津実を見て、耕平はつくづく思いながら勉強机に向かった。
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