閑話7 学内小会議室C【退魔師の内緒話】

【絶華 輝夜】


さて、昨日の封滅堂の件を話し合うために集まった訳だが・・・・


昨夜のすき焼きパーティーで、大量の牛肉を食べたからだろうか?

涼慶すずよしは非常に機嫌がいい。


逆に、祝永さんは急用が出来て、今日は出てこれないらしい・・・


「いや~、すまなかったな輝夜。星崎に風念寺ウチに来させるのに、台本まで作ってもらってほんとうに助かったよ」


「こっちでも、上に頼んで過去の資料に当たってもらったんだが・・・

封滅堂はもちろん全国にある同様の施設でも、封印した後で呪物が暴れ出したなんて記録は見つからなかった。昨日の件は非常にまれなケースだったと考えていいだろうな」


「ほんとうに危なかったな、もう少しで封滅堂ごと滅するところだった」


「でもな、涼慶すずよし。今回の台本だが・・・こちらの指示が足りなかったのもあって、いつ星崎に違和感を持たれるか結構ヒヤヒヤしたぞ」


「すまん、そんなに酷かったか?」


「ああ・・・色々と問題があったが、まず、親父さんが4人乗りの軽バンで迎えに来たろ?」


「・・・もしかして、そこからか?」


「あそこは、親父さんには最低6人以上乗れる車で迎えに来てもらわないと不自然だ。星崎に確実に自然呪物を運ばせる為とはいえ、俺達5人の内3人が一緒に行けなくなったのは、あのサークルルームで事なんだからな」


「すまない、ウチの親父は不器用で以外運転出来ないんだ。檀家回り用の愛車でな」


「星崎に気付かれなくて良かったな。涼慶すずよしはこの夏休みの間に運転免許を取るつもりなんだろう?」


「そのつもりだ、風念寺ウチ周辺は車が無いと本当に不便だからな」


「それなら、次に何かあったら涼慶すずよしの運転で大丈夫だな・・・で、話を戻すぞ。

音声も拾っていたが、3人の僧侶の会話がわざとらしすぎる。星崎も変な顔をしていたぞ」


「あの3人には台本を読ませて練習はさせたんだが・・・」


「それに、なんだよ開祖かいそ枕石まくらいしって? 風念寺に関することだから内容はそっちに任せたが、他に何かもう少し真実味のある話は思いつかなかったのか?」


「・・・輝夜かがや、すまないが開祖の枕石の話は


「・・・まさか、アレ、本当にあるのか?」


「ああ、別の蔵に仕舞われている。門外不出、仏門に入った者は絶対に触ってはいけないと言い伝えられている」


「・・・すまなかった、あまりに嘘っぽい話だったのでな。まさか真実だったとは」


「いや、風念寺ウチの人間だって嘘っぽい話だと思っているよ。それよりも、親父のヤツが妙な事を言い出したぞ」


「どうしたんだ?」


「封滅堂の中の呪物を、星崎にいくつか減らして貰おうかと考えているみたいだ」


その話に、盤動さんが喰いついた。


「志堂さん、忠告しておきますが。それ、早く進めていかないとダメですよ」


「盤動さん、何かあったのか?」


「どこからか曼陀羅呪物に空きが出来た事が漏れてました。寿富堂じゅふうどうの受付停止は解いて無いのに、強引に呪物が持ち込まれるケースが増えてます」


「えっ?」


「昨日の封滅堂の事も、もう外部に流れていると考えた方が良いですよ」


涼慶すずよし、これは、もう完全に上から情報が漏れてるな・・・」


「さすがに、あの冨士の呪物を置いてあった場所に、すぐに別の呪物なんて置けないぞ。あの呪物を無理矢理祓った事で、封滅堂の監視だってまだ外せない状態なんだぞ。盤動さん、すまないが今、星崎のアルバイトって週に何日入っているんだ?」


「いまは・・・月・水・金の3日入って頂いてます。それでも持ち込まれる呪物が増えていて、常に設置室に空きが無い状態が続いています」


「すまない、輝夜。星崎に封滅堂から呪物を取り出させるアルバイトをさせるのに、また台本を書いてもらえないだろうか?」


「台本を書いても良いが、台本には住職を入れても大丈夫なのか?」


「すまないが・・・台本は親父抜きで頼む」

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