閑話5 学内小会議室C【退魔師の内緒話】
【
今、俺は金髪の女の子に叱られている最中だ。
「
「
涼慶が腕を組んだまま、頭を捻っている
「なあ、そもそも、なんでニセ学生なんて言われるんだ? 今時、大学側に問い合わせても個人情報なんか出さないだろう?」
普通、そうだよな・・・・・でも
「あいつらに
祝永の姉さんと盤動さんは、心底嫌そうな顔をしている。
「なんて無駄な労力を使うんだ。ここの学生って8000人近くいるよな?
各学部に金髪の女学生を探しにいくなんて。完全に迷惑行為だろう」
「それだけ、俺達5人でサークルルームを持っている事が、気に入らなかったんだろうな」
「まあ、向こうは8人だから、あわよくば吸収合併を・・・か?」
「それよりも
「私なんて星崎さんに聞くまで、TRPGの存在すら知りませんでした」
「
「
「予定している夏の合宿もな。それと、さっき上から連絡があって、すまないが緊急事態だ。最優先で対処しなければならない問題が発生した」
会議室に緊張感が走る。
「最優先って、なにがあった
俺は黙って愛知県三河湾周辺の地図を広げ、沖にある島を指さした。
そこには神名島という名前と、海上保安庁管理施設に付き上陸及び接近禁止の文字が書かれていた。
「昨夜、愛知県の三河湾沖で海外の貨物船が故障。漂流したあげく、この
「
「盤動さん、普通はそうなんだけど。【
「はい、亡くなったおばあ様に聞いた事があります。確か昔、リゾート開発会社が無許可で海洋信仰の島に手を出して、結果的に島ごと封印されたアレですよね」
「そう、いわゆるバブル期のころ。無断で島に上陸して、祠を壊して施設の造成工事をしようとした開発会社の関係者と、一緒に上陸した作業者全員が、今も行方不明になっているアレだ」
「確か・・・あまりの霊障の酷さに、島への上陸は不可能と判断されて、日本全国から退魔師を集めて島ごと封印するしか無かった・・・・・まさか?」
「ああ、当時は、数珠のように島の周囲に24ヶ所の基点を作って、そこにそれぞれ結界術師を貼りつかせて封印結界を組み上げる事に成功したんだ。今は向こうの退魔師と海上保安庁が協力して押さえてはいるが、瘴気があふれだすのは時間の問題だろう」
「
「正直わからん。しかし、星崎が行く事で瘴気の勢いが少しでも止まれば、その分時間が稼げる。もしダメだったら星崎を連れて逃げよう」
「もし、その時間稼ぎが間に合わなかった場合、どうなるんだ?」
「溢れ出した瘴気の圧力で、その両側に基点の崩壊が連鎖していくだろうな」
「もし全ての基点が崩壊した場合、結界の修復は可能なのか?」
「志堂さん、
「そうなったら島を放棄しかないな。実際に噴き出した瘴気が陸地に到達するまでなら、まだまだ日数がかかるだろう? その間に何か理由をつけて周辺の住民の避難させて、海岸線に沿って結界を張るしか無いんじゃないか?」
地図の伊良湖岬を指さす。
「まずい事に、島の海洋信仰の祭司場所の1つが対岸にある伊良湖岬にある祠なんだ。島全体を禁足地にして、岬の祠から祈りをささげていたらしい。溢れた瘴気はその祈りのルートを逆流して、真っ先に伊良湖岬側に溢れるだろうな」
「先に伊良湖岬の祠に結界を張っておく事は出来ないか?」
「それもダメだ。祠に結界を張られて、気付かれないはずがない。今度こそ神名島に祀られていたモノが怒り狂って、伊良湖岬に押し寄せてくる・・・」
「つまり、今の所、星崎がどれだけ瘴気を消し飛ばせるかに頼るしかない。結界全体が崩壊を起こす前に、瘴気の圧力を少しでも下げられれば、結界術師に壊れた結界の修復をさせる事が出来る。 そういう事か?」
「すみませんが、その修復させる結界術師ですが、私では現地に向かう海上保安庁の船に結界を張るのが精一杯、その上で沙姫さんに手伝ってもらえれば船に島の結界を通り抜けさせる事は可能だと思います。壊れた結界の修復には、別の結界術師が必要です」
「そういう事だな、明日の土曜は午後羽田から中部国際空港、空港から車で伊良湖港へ、そこからは海上保安庁の船で島に向かうから、そのつもりでな」
「ああ、
「
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