3日目 火曜日
少し控えめのアラーム音で現実世界へと帰宅した。
今日は僕が朝御飯を作ろうと思っていたから昨日よりも早起きした。
朝御飯と言ったら基本はご飯と味噌汁がいいのかな。
今まで朝御飯は食パンだったし、体調も良かったからあんまり朝しっかり食べることもなかったな。
ありがとう。七瀬さんのおかげで食生活見直せそうです。
そんなことを思いながら朝御飯を作り終えた。
テーブルに配膳していると七瀬さんがリビングにやって来た。
「ごっごめん。遅くなっちゃった。私がやるよ。」
「大丈夫。昨日七瀬さんに作ってもらったから、今日は僕が作ろうと思って。でもこれからは当番制にしない?毎日大変になるよ。」
七瀬さんは首を横に降った。
「ううん。大変じゃないよ。でも、斉藤君の言う通り当番制にして、もし時間がなかったりしたら片方がやるのはどう?」
「うん。いいと思う。そうしよう。」
七瀬さんは朝御飯をゆっくり味わって食べていた。
他の人が美味しく食べていることがこんなにも嬉しいなんて。
ありがとう。七瀬さん。また一つ学んだ気がする。
その後はお互い準備してズレズレに家を出た。
学校に着いて朝のHRが終わってすぐに、前の席の
西田はいわゆる陽キャで、学校の女子全員と仲がいいという噂がある。
学校の陰キャグループからは女たらしと言われている。
七瀬さんを狙っているとも噂されている。
さらに絡みがウザすぎる。
僕が苦手としているタイプだ。
後ろの席だから逃れられないんだけど。
「おい斉藤、学校のなかで一番かわいいと思う奴誰?」
出たよ。定番と言っていいほどの質問。
正直に答えても好意を持っていると思われるし、いないや分からないと答えても陰キャはかわいそうと行ってくるやつだな。
ここは前提を作ってからの方がいいだろう。
「かわいさだけで言うと七瀬さんだね。七瀬さんはあのかわいさだから人気があるんだよ。」
「ほー、まあ斉藤とかの陰キャには絶対手に入れられない女さ。」
あーうざい。
結局その日は暇さえあれば西田の陰キャ罵倒が起こり、西田の周りに女子の輪が出来て居心地が悪かった。
放課後西田の陰キャ見下しが終わって帰路につこうとしたとき、西田が七瀬さんと体育館の裏側で話しているのが見えた。
別に聞く気はなかったが、向こうから死角になる位置にいたため、偶然聞こえてしまった。
「おい七瀬。いい加減に俺の彼女になれよ。こんなイケメンと一緒にいられる時間なんてもうないぜ。」
「何度断れば気が済むわけ。嫌だと言ってるじゃない。」
「お前は陰キャ男子からも人気があって大変だな。だが、俺といればそんな奴は来ないしいい学校生活が送れると思うぜ。」
「嫌だ。帰らせて。」「お前俺の勧誘を幾度となく断りやがって。もう許さん。」
西田は七瀬さんに食い掛かろうとした。
「うるさい。あなたが思う陰キャのなかに私も含まれているから無理ね。それにあなたみたいな毎日うるさい人は嫌いなの。来ないでくれない。」
すごい罵倒の嵐。
それでも西田は諦めないのか、いつか俺の女にしてやるからなと言って去っていった。
ひとまず七瀬さんに被害も怪我もなくてよかった。
これで安心して帰れる。
それから七瀬さんとは先程の出来事には触れずに早く晩御飯を食べて寝た。
***
今日は朝のHR後にクラスの西田君が斉藤君にかわいい人を聞いて私の名前が出た。
かわいさだけしか見られてないのかと思うとちょっと残念だったけど、嬉しかった。
相変わらず西田君は私を彼女にしたがる。
ならないって言ってるのに。しつこい。
これからはかわいさ以外も磨いていこう。
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