遠い宇宙をゆく小説家と、その手伝いをする機械の少女の物語。
未来の世界を描いたSFです。
宇宙船に加えて、『思考投影装置』という名の未来ガジェット、さらには機械の少女と、本当に「まさにSF」という趣の作品。
とても素敵なお話でした。
これらSF的設定のワクワク感も当然あるのですけれど、それ以上に好きなのはやはり主題というか、『命』というものについて描いているところ。
現代とは異なり様々なことが可能になる、またはその裏でいろいろな何かが消えていく中で、では人の命とは何か、という問いを物語の真ん中に立ててしまうこの骨太さ。
これぞSFの愉しみ、という部分を、でもわずか4,000文字強の分量で綺麗にやり切ってしまうその鮮やかさ、もう最高にストライクでした。
テクノロジーのせいで奪われたものと、テクノロジーのおかげで紡がれたもの。
主人公の複雑な葛藤が胸に響く、とても読み応えのある物語でした。