第7話 ナ、ナンパ〜?

〜〜〜 ナ、ナンパ〜? 〜〜〜


本社での店長会議兼営業会議から戻る途中、ちょっとモヤモヤしてたのでタバコ吸いたくなった。

繁華街路上の「SMOKING CORNER Supported by JTS」の喫煙コーナーへ・・・


関係ないけど、ネイリストの女性ってなぜか喫煙率が高い。 ついでに日本酒好きも多い・・・わたしはそんなに飲まないけど・・・


お気に入りのメンソール・ベリーフレーバー(タール5mg、ニコチン0.3mg)を取り出し、フレーバーカプセルを歯で噛んで潰す。

ベリーの香りが口中に広がる・・・そして咥えタバコで火を付ける。


「ふ〜〜〜生き返るぅ〜〜〜」やっぱりタール多めっていいわぁ〜・・・いい香り・・・っても吸ってる本人はあんまり香り感じないけどね。


・・・いぶかしげにしばらくこちらを見ていた生真面目そうなおっさんが近づいて来る。


「もしもし君、未成年じゃない? だめじゃないか」


そしてわたしを見下ろしつつ(なんせ身長低いのでね)、下から上まで舐め回すように見る・・・


生真面目そうなのは見掛け倒しだったか、それとも男のサガなのか?


「・・・よく見りゃ可愛いじゃん、キミ何歳? 喫煙できるコーヒー店いかない? 奢ったげるよ?」


「・・・」


「ね、いいじゃん? 行かない?」


「・・・」


「お〜い、シカトかよ。 可愛いからって・・・交番行くか?」


「・・・32」


「へ?」


「だ〜か〜ら〜、32歳だっつーの! しかもわたし『TS娘』・・・ほら」と、通称『TS証明書』を見せる。


「うっ・・・TS娘かよ!」と言いながら逃げるように立ち去る。


TS市では『TS娘保護条例』により嫌がらせや暴行などは厳罰に処されるからだ。


ん〜外での喫煙は女子化してないときに・・・と気をつけてたけど、今日は油断しちゃったな・・・


〜〜〜 あ〜 〜〜〜


「ただいま・・・」


「あ、お帰りなさい、店長」とチーフ。


「ん・・・」


「あれ、なんか元気ないですね・・・?」


「あ〜」


「なんかあったんですか? 社長に絞られたとか・・・?」


「あ〜、いやごめん。 会議はうまく行ったけどさ、帰る途中喫煙所で・・・」


「・・・あ〜、ナンパされたとか(笑)」


「ビ、ビンゴ・・・う〜オレもう、タバコやめる〜! ってか外で吸わね〜!」


(可愛い顔で『オレ』とか男言葉で喋らないで下さい・・・ここお店なんですから)とチーフに耳打ちされる。


はっ、そうだった・・・いかんいかん。


しょうがないから、気分転換でビル内の喫煙所に行くか・・・あそこなら見知った人しか来ないから安全だ・・・


通勤電車みたいに、女性+TS娘専用の喫煙所、欲しいぞ・・・

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