第5話 えっ?

〜〜〜 えっ? 〜〜〜


「しのぶちゃんもナオコ(カネコさん)がヘアーサロン経営してるの知ってるでしょ?」


「・・・ええ、超お得意様ですし・・・長年のお付き合いですしね・・・」

さっきのレアスキルの話とか、展開が見えないのでわたし、ちょっと警戒して答える。


「で、ナオコがさ、来店したお客様にヘアーと同時にネイルのサービスまでしたらどうかな? って提案してきたのよ〜 そんときしのぶちゃんが直アポ取ったの聞いちゃったんだけどねぇ〜」


「へ、あ、へ? ヘアーサロンでネイルサービス・・・!!! え、それって斬新で一石二鳥で濡れ手で粟で・・・えーっとえーっと・・・」


「あはは、しのぶちゃんなに慌ててんの(笑) それで愛弟子のしのぶちゃんの意見を聞いてみようと思ったの。 他の店長やスタッフにはまだ秘密」


「あ、はい。 ヘアーサロンでネイル、確かに良いアイデアですね! お客様もお時間さえあればヘアーもネイルも同時に綺麗になるし、まさに『お客様を笑顔にしましょう!』に合ってますよね!!」


「あ、やっぱりしのぶちゃんもそう思う? わかってるじゃない。 で、ネイリストはナオコのお店でお客様に失礼がないような中堅クラスじゃないと務まらないから、まずはしのぶちゃんのお店の・・・えーっと安藤さん(チーフ・安藤ラム)が適任かなー?」


「え、え、え、それはちょっとチーフがいなくなるとわたしが、わわわ・・・じゃなくて、お店が困るんですけど・・・」


「ん? チーフいないとなんでしのぶちゃんが困るのかなぁ〜?(笑)」


「そ、それはですね・・・え〜っと、白状しますけど、実は女子化したときのコーデとかメイクとかヘアとか、ぜ〜んぶチーフに任せてるんです・・・すみません・・・」


「あら〜しのぶちゃんもう女子化歴十数年なんだから、それくらい一人でできるようにならなきゃだめじゃないの〜」


「え〜、だってわたし、女子化して自分でコーデすると、どうやってもJKにしか見えないから・・・これでも結構苦労してるんですよ! ムツミさんわかって下さいよ」


「そっかー、じゃぁこの案件の詳細は来月の店長会議にかけるとして・・・この話は進める方向でって、ナオコに返事していい?」


「はい! ネイルサロンTSと、カネコさんのお店とお客様のトリプルWINですね! 是非やりましょう!」


「決まりね! 早速ナオコに連絡するわ。 じゃ、今日はここまでね」


「はい、お疲れさまです。 それじゃムツミさん、お店にもどりま〜す」


「は〜い、しのぶちゃんお疲れ様〜」


あー変なところで墓穴ほった〜・・・でも安心した〜


・・・でもレアスキルの話を持ち出すって(確かに学園卒業後も女子化能力保持者は年1回の『検査』が義務付けられているけど)・・・ま、今日はいっか〜


わたしってば、なんか警戒してたのが莫迦みたい・・・

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