第3話 ウイスキー1
ウイスキーの話にしよう。
ドラマ「マッサン」でも有名ではあるが、日本のウイスキー造りは現在のサントリーである寿屋から始まったと言って差し支えない。サントリー創業者の鳥井信治郎とニッカ創業者でスコットランド帰りの技師である竹鶴政孝が京都山崎で始めた蒸溜所で造られたのが日本産のモルトウイスキーの始まりだ。これ以上の詳しい話は、いくらでも調べられるから割愛する。
ウイスキーと言うと、昔は特級、1級、2級と分かれていた。日本酒も同じように級別に分かれていた。級は品質ではなく、アルコール度数で決められた酒税法上の分類だった。
級が上がれば税率が上がるので自然に高くなる。特級は43%以上、40〜43%が1級、39%以下が2級と言う分類だった。ちなみにその頃の輸入ウイスキーはすべて特級で関税も高く高嶺の花だった。
私が呑んでいたのは、サントリーのレッド、ホワイト、ニッカのブラックアンドホワイトなどだった。さして美味しいものではなかったが、ウイスキーはそれぐらいしか呑めなかった。
日本のウイスキーの特徴をご存知だろうか。スコッチウイスキーを模倣したのは間違い無いけれど、私が思う特徴は「水割り」にしたときに破綻しないウイスキーと言うことだ。
スコッチを呑むと分かるのだが、水割りにすると味のバランスが崩れる酒もある。グレンリベットのように、ストレートでも水割りでも全く崩れない物もあるけれど、アイラ系のように水割りには向かない物もある。
日本のウイスキーは、元々高いアルコール度数を求めない日本人に合わせて、水割りやハイボールを前提に造られてきた。
今や世界中から認められ、求められるジャパニーズウイスキーだが、基本は日本人に合わせた酒なのだ。
さて、最近ウイスキーが高い。山崎12年など、手に入らなくなってしまった。これは、ウイスキーが投機対象になってしまったからだ。日本酒のプレミア価格と違うのは世界的な投機の対象だということである。大手の資産運用会社が樽買いしている話も聞く。そのために、日本だけでなくかなりのメーカーの原酒が不足しているらしい。ウイスキー原酒は、すぐには量産できない。なぜなら、一定期間樽で熟成させるからだ。割と安いウイスキーでも短い熟成期間の原酒だけでは味が安定しないために、そこそこ長い熟成期間の原酒を混ぜたりする。モルト、グレーンをブレンドして再熟成させて瓶詰めされて売り出される。まあ、価格によって再熟成期間は短くなったり、なくなったりすることも有るようだが。
日々の晩酌は安いウイスキーで済ます私であるので偉そうには言えないが、中には悲しくなるようなウイスキーが如何にもうまそうにパッケージされているのに何度か騙された。甲類の大容量焼酎と変わらないと思うウイスキーさえあった。日本産モルトではなく輸入モルトを混ぜて、グレーンの代わりにスピリット(アルコール)を混ぜただけの代物ではウイスキーモドキと言われても仕方ないだろう。良心的なウイスキーばかりが日本産として売り出されているわけではないので気をつけよう。
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