第四話 訓練2日目

訓練2日目。今日は能力の訓練だ。

「師匠!おはようございます!」

「おはよう、スピネル。」

師匠は朝ご飯を作ってくれていた。

「あれ?今日は朝食を食べてから訓練ですか?」

「そうだ。能力を使うには体力が要るからな。

朝食でエネルギーを補充しておけ。」

「分かりました!」

そう返事して席につき、朝食をむしゃむしゃと食べた。


一時間後


「では今日は、能力の訓練をするぞ」

朝食を食べ終え、いよいよ訓練が始まる。

「まずは、お前の能力についておさらいだ。自分の口で説明してみろ。」

「10秒前までの自分がいた位置に飛ぶことが出来る、です。」

「その通りだ。この能力はシンプルだがかなり

強力だ。」

シンプルだが強力。この言葉を受け、早く能力を使えるように成りたいとより一層思った。

「まずは使い方についてだ。まずは俺が手本を見せてやる。」

「師匠の能力はなんですか?」

「そこで見てろ。」

訓練室には訓練用模型が置いてある。師匠はその模型に向かって

「ブレイク・インパクト!」

と叫び、斧を振りかざした。

模型は粉々になった。先日の訓練の威力とはまるで桁が違う。

「これが俺の能力、ブレイク・インパクトだ。 能力の発動方法か簡単、口で能力名を発するだけだ。」

「以外と簡単ですね…。」

もっと多くの手順を踏まなければいけないと思っていた分、簡単だと思ってしまった。

「実際の所、発動自体は簡単だ。しかし、能力を口で発する以上、相手もこちらが能力を発動するとわかるため何らかの対策を取ってくる。だから難しいんだ。」

なるほど、と思った。確かに相手が能力を発動すると分かれば、素人の僕でも直ぐに距離をとるだろう…。

「よし、それでは能力を使ってみろ。」

「分かりました。…リターン!」

…何も起きない。 師匠は声を出して、笑った。

「ガハハ!お前の能力はリターンだ。どこに飛ぶか想像したか?その位置に移動してないのに飛べると思うか?」

確かに、よくよく考えるとその通りだ。

僕は顔が赤くなった。

「お前の能力を上手に発動するには、動きならが良い。お前は素早いからな。」

「分かりました。もう一度やってみます。」

もう一度ナイフを構え、模型の前に立つ。

模型の周りを三百六十度、素早く走る。

「リターン!」

模型の背後に飛び、ナイフをそのまま刺す。

気持ちい位に綺麗に決まった。これが僕の能力か。

「上手いじゃねえか!やっぱり、体が覚えてるもんだな。」

「ありがとうございます!」


師匠は模型を片付けた後、僕の前に立ち斧を構えた。

「実践訓練だ。今回は能力を使っていいぞ。俺を殺すつもりでこい。」

実践訓練…。確かに僕は能力を身に付けたので攻撃は当たるかもしれない。しかし、あの師匠の能力を食らうかもと考えると顔が青ざめる。

「安心しろ。俺は能力は使わない。」

師匠は察してくれたのか、そう言ってくれた。

これならなんの不安もない。

「俺のカウントダウンで開始だ。五、四、三、二、一、零!」

俺は師匠の周りを素早く囲うように走った。

師匠は何故か微動だにしない。

「リターン!」

師匠の真横に飛んだ。いつもは背後だか、読まれていると思ったからだ。

「フンッ!」

危ない。ナイフで防ぐことが出来たが、あとチョット反応が遅れていればモロに食らっていた。

しかし何故反応出来たんだ…?

考えるのは後にしよう。今は目の前の師匠に集中だ。

今度は師匠の方からやってきた。

図体がでかい割には素早い。

「フンッ!」

師匠の斧を避ける。さぁ、これからだ。

師匠が僕の方に追撃しに来れば、リターンを発動し背後に飛べる。そうなれば僕のナイフは必中だろう。

「避け方が甘いな!」

師匠が追撃を入れに来た。予想通りだ!

リターンの発動に体制は関係ない。あえて甘く避けたのだ。

「リターン!」

師匠の背後に飛んだ!まさに零距離。

「喰らえ!」

ナイフを振りかざした。

師匠は振り返り、斧でナイフを弾こうとしたが、間に合わなかった。

浅くだが、ナイフが師匠な突き刺さった。

「やるな…。それでこそスピネル、狂犬だ。

だがな…。」

師匠が視界から消える。

これはマズイ、油断仕切っていた。

前後左右見渡すが、何処にも師匠の姿は無い。

「グハッ!」

死角から、師匠が僕の脇腹に斧を振りかざした。

僕はモロに食らい、吹っ飛んだ。


「油断禁物だぞ。これにて今日の訓練は終了する。」

「ありがとうございました。」

勝ったと思っていたので、落ち込んでしまった。

「落ち込む必要は無いさ。油断は誰にでもあるものだ。俺だってさっきお前が甘い回避をしたが為に、無理に追撃をしてしまった。それに、俺に一撃当てただけでも相当だぞ。」

「5段階評価で言うと今回の僕の評価は何点ですか?」

師匠は直ぐに

「5点だ!」

と満面の笑みで言った。







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