第三話 訓練一日目と新たな名

訓練の日の朝は早い。

「おはようございます!師匠!」

師匠とは、おっちゃんの事だ。

「おはよう、狂犬」

「なあ師匠、その狂犬ってのやめてくれないか?他の名前が欲しいんだけど」

師匠は少し考えて

「狂犬が嫌なら、うーん…。」

「スピネル…なんてどうだ?」

「スピネル…。良いね!気に入ったよ!」


「それは良かった。では、訓練を始めるぞ」

いよいよ初めての訓練が始まる。

「こっちにこい」

場所を移動した先には、大きな建物があった。

師匠がそこに入ったので、慌てて僕も入った。


「まず、お前はどの武器を使いたい?」

師匠は並んだ武器を指さした。

「僕は以前、何を使ってたの?」

「訓練中は敬語を使え。」

叱られてしまった。訓練では何処か師匠の雰囲気はピリついている。

「お前が以前使っていたのはナイフだな」

ナイフ…。他の武器の比べて弱そうな気がする。

他の武器には、

・剣 ・斧・弓・槍

がある。

「さあ、決めるんだ。」

「…。ナイフにします。」

かなり悩んだがナイフにした。直感、本能的に僕

にはナイフしか無いと思った。


「今回もナイフか…。ではそのナイフを持ってこっちに来い。」

「分かりました。」

別の部屋に移動すると、そこには開けた空間があった。

「今からここで、俺と実践訓練をしてもらう。」

「いきなり実践…ですか?」

「そうだ。まずはお前がどのくらい動けるのか確認する。」

いきなり実践…。不安だ。

「武器を構えろ。カウントダウンで開始するぞ」

師匠は斧を、僕はナイフを構えた。

師匠からは歴戦の風格が漂っていた。

「五、四、三、二、一…零。」

零の合図と共に、僕は勢いよく師匠に向かって走

り出した。


僕は師匠に接近したあと、勢いよくナイフを振りかざした。

しかし、師匠はそれを簡単に避けた。

「良い線だな。ほら、続けてこい!」

「はい!」

さっきは正面から行って避けられた。今度は背後に回り込んでやってみよう。

「これでどうだ!」

僕は背後に素早く回り込み、ナイフを振りかざした。

「やるな!」

師匠は斧を振りかざし、ナイフを弾き僕を吹っ飛ばした。

「グハッ!!」

僕は壁に勢いよくぶつかってしまった。

しかしダメージは少なかった。自然と受け身を取れていたらしい。体が覚えているのかも知れない。

「おいおい、これでお終いか?」

師匠は僕を嘲笑うように行った。

「まだやれます!」

僕は再び起き上がった。

「こいつはどうかな?」

師匠は向かってくる僕に対し、勢いよく斧を振った。

「クッ!」

僕はナイフで受け止めたが、力な差は歴然。

直ぐにまた吹っ飛ばされてしまった。

「ガハッ!」

今度は受け身を取れなかったらしい、僕はそのまま意識を失ってしまった。


目が覚めると、僕はベットに寝かされていた。

「よおスピネル、起きたか。」

師匠が横に座っていた。時計を見るともう18時だ。かなり長い時間寝てしまっていたらしい。

「師匠。おはようございます。僕の実践訓練、どうでしたか?」

「そうだな…。5段階評価で言うと、3ってとこだな。」

「3…ですか?」

真ん中、いわゆる普通。僕の体感としてはもう少し上手く出来たと思ったのだが。

「ガッカリするな。良い方だぞ。俺の感想としては、体が覚えてる。と言ったかんじだな。プレイスタイルが以前のお前と瓜2つだ。」

その後師匠は少し考えて言葉を続けた。

「しかし、以前のお前は5だ。この2の差は、お前が能力を使っていないからだ。能力の使い方はまだ教えてないから当たり前だ。つまり能力を使ってない状態の評価としては最高だ。」

僕は少し嬉しかった。認めて貰えたような気がした。

「師匠、明日は能力の使い方を教えてください」

「そうだな。能力は早く学べば学ぶほど良い。」

「ありがとうございます!」

グゥ〜。お腹が鳴ってしまった。恥ずかしい。

「ハハハ!お腹が空いたか!そろそろ晩飯にするか!」

「すみません…。お願いします!」








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