通行人

道行く人が縦に裂けていた。血は流れていない。内臓も見えない。お菓子の袋を開けた時にみたいにビニールのような腕をぴらぴらと揺らして、頭から裂けた人々が何事もなく街中を歩いている。きっとおかしいのは僕一人なのだろう。ここで叫び声を上げようものなら奇異の目で見られるのはこちらなのだから。

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