第6話 近づく恐怖


『薔薇』の家に来てから、15日たった。その間に、私は『薔薇』と仲良くしようと頑張った。結果は、名前を恥ずかしがらずに呼べただけだった。


 心の中では、『薔薇』で固定されている。仲良くなる方法何かないのかと思ったけれど、いい方法が思いつかなかった。


 まぁ、いいかと思っている。理由は、『薔薇』は忙しいから。あと、リリーさんと話ができているから、そこまで寂しく感じていない。


 楽しい日々を過ごしていたら、私宛の手紙が届いた。母からの手紙だった。封を切って、中を見ることにした。


 𓍯*

 𓍯**

 𓍯***


『リィーシャへ


 元気ですか?相手方のご迷惑をおかけしていませんか?こちらは、元気ですが、リィーシャが元気ならさらに元気になります。


 そうそう。そちらに持っていった鈴蘭は、お父さんが研究して、同封した液体をかけると分裂します。ある程度増やして、これ以上はいいかなと思ったら、水をかければ分裂がストップします。便利でしょ?


 最後になりますが、サンド君が、あなたの近況報告を楽しみにしているよ。リィーシャにこの手紙が届いているなら、返事を返してね。


 あなたの母より』


 𓍯***

 𓍯**

 𓍯*


 私は、母の手紙を見た。確かに、手紙を送っていなかったから、母を心配させてしまった。母達の中では、『噂の薔薇』しか知らないのだから。


 まぁ、母達にも手紙を送ろう。多分、生存確認の意味合いも込めて、手紙を送ったはずだから。私は、筆を取って返事を書き始めた。


 ?

 ??

 ???


 私は、今日『薔薇』の屋敷の目の前を通った。そうしたら、『薔薇』の護衛に紙を渡している女性を見かけた。


『薔薇』の屋敷で、冷たい目で見下ろされ続けるのは、精神的にくるはず。なのに、あの女性は、どうだ。笑いながら、『金木犀』と話している。


 少し遠くの方を見ると、『薔薇』が少し寂しそうな顔をしていた。でも、どこか嬉しそうだった。『薔薇』の隣にいる『彼岸花』も嬉しそうだった。


『薔薇』の家があんな幸せそうにしているのは、見た事がない。いつも忙しなさそうに動いているせいで、他人にツンケンしていると言う噂は、嘘だったのだろうか。


 そうなると、話が変わってくる。私は、元々『薔薇』が好きだった。どうしたら、『薔薇』に振り向いてもらえるか。


 私は、あの女性を排除する事にした。そのためには、『薔薇』の隙をついて、あの女性をどこかに攫う。居なくなった女性の変わりは、私が補う。


 完璧ね。私は、偽装のスキルを持っているから、バレる事はほぼない。


 私は、『薔薇』の屋敷にいる『』を見つめながら、決意した。

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