第5話 鈴蘭姫と薔薇の過ごす日々
リリーさんと話をした翌日。『薔薇』が話しかけてきた。どうやら、リリーさんが昨日の事を『薔薇』に言ったらしい。
「リィーシャ、昨日姉ちゃんと何か話した?何か、姉ちゃんが昔の話を聞いたって言ってたんだけど」
「ええ。聞かれていたので、お答え致しましたよ」
「それは、姉ちゃんに怒られるからやめてほしかった」
「怒られるような事をするからでは?」
「あれは、不可抗力だ。大体あの時8歳だったし……」
「私は、当時4歳でしたよ?」
「そう言われると、そうだな」
私は、『この人、本当に大丈夫かな』と思った。しかし、本当に噂と違う人だと言うのが、私の率直な感想だった。
噂は、見下ろす目はどこまでも冷たく、ため息ばかり吐いていて、表情もどこまでも冷たい。誰が流した噂かは分からない。
でも、噂の顔は今の所出ていない。かと言って、油断はしない。いつ本性が出てもいいように、気を張る。仲良くしない。その事を守ろう。
『薔薇』の屋敷に来て3日目。『薔薇』が、話しかけてきた。適当に会話をして、流した。
『薔薇』の屋敷に来て4日目。『薔薇』と少し遊んだ。ゲームなんてやった事がないから、楽しかった。
『薔薇』の屋敷に来て5日目。『薔薇』のお手製のアクセサリー類を見た。シンプルな作りだったけれど、精密に作られていた。
『薔薇』の屋敷に来て6日目。段々と屋敷に慣れてきた。
『薔薇』の屋敷に来て7日目。熱を出した。しばらく外出禁止と言われてしまった。
熱が出た時に、『薔薇』が色々と看病してくれた。看病をされていると間、自由がきかない中で、合間を縫って看病をしてくれた。
「お仕事は、大丈夫ですか?」
「気にしないで。それよりも、君の体調の方が不安だよ」
「優しいのですね」
「そう?」
「噂では、冷徹な人だと聞いていたので、驚きました。でも、蓋を開ければ優しい人だった。私、いつ本性を出されるか怖かったんですよ」
「君は、冷徹な方がいいの?僕は、恨まれる事が多いから、冷徹な人と噂されるけど、本性は君に出している方だからね?」
「いいえ、私は優しい人の方がいいです。今まで、周りに冷たくされていましたから」
「僕は何があっても、君から離れないよ」
「ありがとうございます」
完治したらいいな。そう思いながら、『薔薇』を見つめていた。
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