第2話 薔薇との対面


 ついに、明日は薔薇のお方の屋敷に行って、薔薇のお方と会う。薔薇のお方は、待っているのかしら?まぁ、昔の想い人に惚れている、と噂されている。でも、あのお方は、女性の同居人がいるため、その人が奥様だと言われている。




「はぁ……。行きたくない」




 行きたくなくて、この言葉が出てしまった。でも、文句ばかり言っていられない。実際に、奥様はいるだろうし、火のないところに煙は立たないと言うから、誰かいることは間違いないだろう。


 それにしても、『星の旅人』は、すごい言葉を思いつくな、と思ってしまった。先程の『火のないところに煙は立たない』とは、『星の旅人』と言われる人が伝えたと言われている。実用性が高いため、この国だけでなくて、他国も使っている。


『星の旅人』とは、この世界とは違う、別の世界から来た人だと言われている。その人達は、この世界に技術や知識を教えてくれた。だから、子孫を大事に扱っているらしい。


 まぁ、別の世界に行けるけれど、旅行なので、お金が必要だ。しかも、代金がかなり高い。下手したら、250000フルーすると言われている。大きな土地を買うのに10000フルーと言われているから、その差は1目瞭然だ。ちなみに、一般的な3人家族なら一生遊んで暮らせる金額が10000フルーと言われている。


 そんなに高い旅行には、理由がある。この世界は、旅行に行ける世界と違って、共通の通貨を作っていないからだ。他の世界は、世界共通貨幣の『ペル』と自分の世界の共通貨幣を使い分けているけれど、この世界『フラーシェロン』は、貨幣をまだ発行出来ない中で事業が始まったので、当然両替にかかる手数料、時間外勤務手当も入る可能性を含めて、さっきの値段と言うわけだ。


 この世界は、おそらく貨幣価値が、他の世界より安い。さっきの手数料、時間外勤務手当にかかる金額が50000フルーなので、残りの200000フルーが旅行代だ。しかも、それもペルに直すと200ペルらしい。だから、旅行に行った人は、1人もいない。


 大分脱線してしまったけれど、もうそろそろ寝ないと、薔薇の屋敷で倒れる方が問題だ。


 翌日。私は、家族に見送られて、薔薇の屋敷に行った。かぼちゃでできた車が来てくれたので、乗ってみる。ちなみに、この車は、6000フルーする。乗り物は、決して安くない。


 無事に、薔薇の屋敷に着いてしまった。かぼちゃ車が事故になれば、破談になったかもしれないと思っていたから、少し残念に思う。




「それでは、私はこれで」


「はい。ありがとうございました」




 かぼちゃ車を運転していた男性も去ってしまった。もうここは、腹を括るしかない。




「すみません。『薔薇』の婚約者の『鈴蘭姫』です」




 そう私が言うと、玄関の方に足音が近づいてくる。そして、『薔薇』らしき人が来た。




「久しぶり。僕のこと覚えてる?」


「ええっと、分かりません」


「君が『鈴蘭姫』と呼ばれる原因となった人だよ」


「もしかして、鈴蘭の毒で殺されかけていたあの時の?」


「うん。これからよろしくね」

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