6章:未来へ繋ぐ人

「え?天葉って小学生の時、不登校だったの?」

俺は横にいる男子を唖然と見つめた。まさか「不登校」のワードが出るとは。

「うん。そうだよ」

天葉はそれ以上何も言わなかった。多分知られたくない過去があるのだろう。

「でもすごいよ。1回学校に行けなくなったのに、また戻ってこれて」

率直に思ったことを告げたが、天葉は微妙な顔をする。


   ※ ※          ※ ※


夏休みが明けた。俺はある決意を胸に、学校へ登校した。

光羽を視界に入れないように、光羽に気づかれないように彼女を避ける。

もちろん理由は、俺が耐えられないから。

「もうすぐ死ぬ俺」に、恋はキツイのだ。

しかし…さっきから、チラチラ光羽からの視線を感じる。

辛い。心臓がギュと掴まれたような感じがした。

まるで光羽から逃げているような感じさえした。実際にも逃げているが…。

「どうした? 何かあった?」

天葉に心配されるが、絶対に話せない。

「いや、眠いだけ」

夏休み。光羽の事を考えていた。何度も泣いて、しょっちゅう悩んだ。

そこで出た結論が、これだ。

でも、それで過ごせたのは、たったの1週間だけだった。

光羽に心を溶かされた。もうこれ以上は心が言うことを聞かなかった。

我ながら呆れた。でもそれ以上に喜んでいた。

それからは、いつも通り光羽の事を考えてばかりの日々が再開した。

「最近、光羽のことばっかり考えてる」

「良かったじゃん」

天葉には「当てつけ」のようだけれど事実を述べた。


数日後。水道の前で、光羽が並んでいた。

この後、お弁当を食べて昼休みだ。

何となく光羽にアピールしたくて、わざと視界に入る。

俺以外に視線が向いているのにはムカついた。

最近、嫉妬ばかりしているのは自覚している。

天葉は特に何も触れてこなかったけれど、「よく思わない」のには気づいていた。

俺は自分の気持ばかりを見ていた。見なければいけないものを見ていなかった。

光羽の変化に気づいてやれなかった。


ー次の日から、光羽は学校に来なくなった。

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