第20話 再会




 タクタクタクと剥啄が入り、シュクレが扉を開けると、領館のメイドが扉前で立ったまま一礼した。

「法務総監より指令、平民2名の引き渡しを行う。

 ログル村のカンドよ前に」


「・・・はい、カンドです」とボクが進み出るが、

メイドは此方を見ることもなく正面を向いたまま、部屋内にも入ろうせずに佇んでいるが、騎士団で別れた姉妹が、メイドの脇を通り、別れた時の姿で部屋の中に入って来た。

 ただ、足には布袋靴が履かされている。


「子爵より下げ渡された、平民二名に相違ないか?」

「は、はい、ボクが保護した女の子達で間違いないです」

 するとメイドは扉の脇に寄り、深く一礼し、顔を伏せて佇んだ。

「モルグスタ聖騎士隊長、ご入室」そうメイドが告げると。


 議場で儀仗戦斧を持っていた、聖騎士様が入って来た。

 騎士の入室を告げたメイドが、扉を閉め部屋に入り、扉の中央に立ち控えている。


 この方は、ジョスア・ランドエンス・ド・モルグスタ聖騎士隊長


「デガンダ久しぶりだな、母がせわになったようだな、薬が良く効いたと言っていた、ありがとう」

「俺の薬を頼ってくれてありがたい、回復に向かわれたのなら重畳」

「母を見舞ってやれずにいる、不詳の息子だが、デガンダが応じてくれて助かっている」

「立場は違ってまってもダチじゃねえか、俺はそう思ってる」

そう言って、こぶしを打ち合う二人。


 ジョスアはスイっと視線をシュクレに向けると、駆け寄り跪く。


 瞬間そこへエクレットが隣の部屋から戻って来た。


 シュクレの手を取ろうとした処で、エクレットに顔を向けると、ズカズカと歩み寄り、エクレットに詰め寄る


「エクレット、エクレット勘弁してくれよ、引っ込みつかなくなるところだったじゃないか、裁定の場で挑発してんじゃねーよったく、王宮派の貴族共もいる場なんだからよ。

 こっちだって足元掬われかれねぇんだ、”影”がゲラルデンの矢を放たなきゃ、その首落としてたぞ、あそこまで身体張りやがって、持って行き方があるだろうが、いい感じの淑女になったかと思ってたんだがな」


「モージェスとゲルラッハにジャクスレーン、あれを視界に納めたまま、お淑やかにゃ出来なかったのよ。

 そうよ今日の門衛リーデラストのスノック馬鹿でしょ?

 なによあのスノック馬鹿あなたん処のでしょ、いい迷惑よ」

「それはそれ、あの場ではあの場での振る舞いがあろうが、この御転婆姫が」

「御転婆姫ってアタシが?」

「他に誰がいんだよ、じゃじゃ馬娘」

 そういって、エクレットの頭を抱きしめたジョアス。

「スノック娘、俺の手でお前を・・・、スノック娘・・・」

 エクレットはタシタシタシとジョアスの背中をタップする。


「ごめんなさい、アルディにも叱られちゃったの、今日一日で沢山の人に叱られたわ」

「むむむむむ」

 ジョアスはエクレットの両肩を掴み、険しい表情で睨み唸りを挙げたまま、突然シュクレの方を見た。


 ダッ


 猛然とシュクレ目掛け走り寄った。



「シュクレ、シュクレ、シュクレ愛しのシュクレ、その姿良く見せておくれ」

 シュクレに跪きシュクレの手に取り、額を押し付ける最上の敬意を示す。


「エクレットはあんなんで残念だが、我がアルサトネの剣はソナタのもの、こうして再会できたことミレーゼに祈ることを許しておくれ。

 美しく気高きシュクレよ我がアルサトネの剣に是非とも一条の光を賜わらん」と、シュクレを見つめ、シュクレも見つめ返し、何故か二人の世界に入っていく。




「おいおい相変わらずだな、其の方の忠誠が我から離れんことを願うぞ」


 いつの間にやら子爵も入ってきていた。


 しかしジョアスは、シュクレを見つめたまま、言葉を紡ぐ。

「勿論でございます、我が実剣の主は子爵でございます、お疑いとは遺憾でございます。

 しかしながら、シュクレは我がカーンキュテでございます、シミルクレーゼの大楯を我が前に立てないでいただきたい」



 シュクレも一切気にする様子も見せず、ジョアスを見つめて、甘やかな世界が広がる。

「ランディ私は、デガンダのセキュア、私をジュグダの天秤に乗せないでくださいませ。

 でもねランディ、私も再会できて嬉しいです。

 雄々しきマグメラよ、天に輝くツクヨリよ、我が聖なる楯となりし、ランドエンスに光あれ」そういって左手を天に掲げる。


「シュクレ」

「ランディ」

「シュクレ」

「ランディ」

「シュクレ」

「ランディ」

「シュクレ」

「ランディ」


「「「「・・・・・・・・・やっとれんわ」」」」



 ボクは何を見ているんだろう、一体なにを・・・



「カンド、カンド、おーーい、ああ、気にしなくていい、ただのバニュダン冗談だから。

 まぁ、ああだけど、あの二人は嘗て思いを寄せ合った者同士なのよ、けど一緒になれない訳有りでね、じゃれあう事で満足し合ってるのさね。

 『好き』だの『愛してる』だの言霊は決して飛ばさないのね、本人達も重々理解している。

 アタシ達の前でしか、じゃれ会わないから、好きにさせてるのよ、二人っきりには決してなれないの、世の中にはそうゆうこともあるのよ」

 そういってエクレットは穏やかに微笑んでいる。



 かつてエクレット達と共に冒険者をしていた戦士だそうだ。

 槍と楯を使う重堅タンカー、冒険者時代に大鷲の印を得ていて、お家事情から騎士団に所属し、メキメキ頭角を現し、今では子爵の側近儀仗騎士へと登り、聖騎士隊長となっている。





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 小姓の控えの間と言うが、部屋は結構な広さがある、この控えの間には有事際に騎士が待機することもあるそうだ、有事ではないが沢山の人が集まってきている。


 ボクとエクレットとデガンダとシュクレにフォルド子爵とジョアス聖騎士隊長に、孤児となった姉妹と扉前に居るメイド。


「おい平民」突然子爵様からお声が掛かった。

 ボクは蹲って返事をする「ハイ」

「お前に下げ渡した孤児共、領内からだすなよ、けどな、閉じ込めろって意味じゃない、お前の裁量に任せる、責は果たせ」


「はい!この子達はボクの工房でボクの弟子として育てます。

 ボクも嘗ては孤「展望も過去もどうでもいい!語って聞かせるな!」

 被せられた。

「・・・はい、失礼致しました」



「カンド、大丈夫よ叱ってないわよ、怒られてるわけじゃないのよ、多くを答えたら、あなたの自由が束縛されてしまうわよ、ご配慮下さってのお言葉なのよ、大丈夫よ」

 エクレットが優しく口添えしてくれた。


「じゃ、今からお前んとこの子供だ、連れ帰るが善い」

「はい、有難うございます、二人をボクの工房へ連れ帰ります」

「旦那様、もう一手間でございます」と、いつの間にやら執事が書簡箱を抱え、子爵様に耳打ちし立っていた。

「ヤツに見つけさせる」




 子爵様の裁定も下り、正式に姉妹を引き取ることになった。

 ボクの小さな工房で、二人は助手として働いてもらうことにする。

さて、今まで便宜上姉妹と呼んできたけど、今更ながら名前は何と言うんだろ?


 その他もろもろ事も、確認しておかなきゃならない事もあるしと二人の前で中腰になり、話を切り出そうとして、ドカッ!!


 蹴り飛ばされた!


 振り向くとシュクレが本気で怒っていた。



「あんたねぇ、御領主様に尻向けちゃ駄目!スノック!

 折角の場が惨状になるわよ、スノック!スノック!スノック!」

「小姓の間だ、下級平民の振る舞い、許す」

「御領主様のお心使いに感謝いたします」シュクレがエロールの印を切る。


 キンと金属の音が聞こえたような気がして、見渡したら、ジョスア聖騎士様が剣を収めた音だった。

 何が起こったのか判らなかったが、全身から汗が吹き出した。

 左の肩口が切れている、とんでもない失敗をしでかしたようだ。

「申し訳ございません」直ちに蹲って非礼をわびた。


「ほら、起きて、あなたが屈むときは両膝付いて、腰は落とさない!

 尻を突き出すような姿勢を御領主様に向けちゃ駄目。

 中腰とるくらいなら、片膝付きなさい。尻は常に下向きスノック」

「はい!すみませんでした」と再度頭を下げる。

 アチャーとシュクレが手で顔を覆った。

 ん?又何か間違ったのか?



「ハイハイハイ、終わんないから、カンド続きやっちゃいなさい」

 エクレットも呆れ顔で続きを促した。


 今度は片膝を着いて、姉妹の前に座り話しかける。

 先程からのドタバタにも拘らず、表情が消えたまま心此処にあらずといった感じだ。


「はい・・・。

 えっと、あ、えっと、これから二人には、ボクの家に来て貰うよボクの家では、細工物の工房を開いている、そこの助手として働いて貰うから、出来る事と出来ないことを教えてもらえるかな?」


 ボクの方に顔を向け、話を聞こうとしている様子は伺えるが。

「・・・・・・?」怪訝な表情を浮かべる二人だ。

「あ、いや、あ~ボクの言葉分かる?」

 コクンと二人は頷く。


「今日から、君達二人は、ボクの家の子供だよ。

 ボクの家に来るんだ、一緒に住むんだよ」


 その言葉を聴いた二人は、ハッと息を呑み、直ちにしゃがみ込んだ。


 首の後ろで指を組み、肘を張り、胸を張る、両膝を大きく広げて床に着き、爪先立ちの姿勢をとった。


 パンッと肩を叩かれた。

「これは一般的な『奴隷の姿勢』だ、主人がお前に代わった事が判ったんだろう、主人のお前に服従の姿勢を見せている」

「デ、デガンダ?」

「生半可なこっちゃ寝ねえぞ、奴隷を辞めさせるってことはな」

「大丈夫だよ、大丈夫!

 孤児院に入りたての小さい子の中には、痣だらけの子達も居た。

 言葉を失った子だって、光を持たない子も、音が聞こえない子も居た。

 けど、みんな食卓で一緒にメシ食べた。

 こんなに優しくて、強い子達だもん、大丈夫」

 そう言ってボクは、この子達と向き合っていくことを宣言する。


 まずは、この子達を立ち上がらせて、話を聴いていこう。



「じゃあ、えっと名前は何て言うんだい」

 今まで呼んでいなかったから改めて聞いた。


「・・・・・・?」首をかしげると途端に「!!」二人とも恐怖の表情を浮かべた。

「いや、まってまって、怒ってるわけじゃないよ、怖がらないで」



「なんだかねぇ、名前なんてある訳無いじゃないか、その子達は・・・この場だから言うけど、元々奴隷なんだよ、多頭飼育されていた奴隷、オイとか精々オマエとかしか呼ばれてなかったろうに、名前の概念すら持っちゃいないよ」

 そうエクレットが教えてくれた。


「え、無いんだ、知ってたの?」


「そうね、ダチュラの子供達だって、ほとんど名前の無い子達よ」

 シュクレが補足してくれた。




「なんだ、そーだったのか、じゃ付けてあげなきゃ」この子達に名前を付けて覚えさせることが最初の仕事になったようだ。


「じゃまず、お姉ちゃんの方、その髪まるで銀細工の輝きのようだね。

 ミスリルとの親和性が高く輝く水と風の銀色の妖精

『アリフィエイン・ズ・カリフォレストス・マンスレシュアル・テル』から、頂いて。

 エリファス?エリフィ?エリアル!

 エリアルにしよう、今からアリエルだよ。

 アリエルと呼ばれたら、手を上げてごらん、アリエル」


 おずおずと小さく両手を持ち上げる仕草する、何かを見定めるかの様に、その目を伏せ見がちに、こちらを伺いながら。


「そうだよ、君の名前だ、エリアル、エリアル忘れちゃだめだよ、名前の意味は、

『軽やかなる風色』と言うんだ」



「そして、君の名前はその黒い瞳と細やかな指の動きが飛びっきりの技工士のようだ、漆黒のアダマンタイトの堅牢なる意志と、土と植物の妖精。

『フーマス・キョレリフス・ヴァブスティン=シュラク』から頂いて、ティッシ?

 サイリシュ? サリシュ うん!サリシュ。


 サリシュ、今からサリシュが君の名前だよ。

 サリシュと呼ばれたら、手を上げてごらん、サリシュ」


 この子も、おずおずと小さく両手を持ち上げる仕草する、何かを見定めるかの様に、その目を伏せ見がちにこちらを伺いながら、『サリシュ』と唇が動いたように見えた。


「名前の意味は、『賢優たる芽吹き』って意味なんだ」


「エリアルとサリシュ」と呟きながら、執事さんが何かを書き込んでいる。


 

「それじゃ二人には、名前も付いたから、ボクからの贈り物をしよう。

 エリアルもサリシュも同じ物だけど」とズボンのポケットから袋に入れていた、、小さなチップが付いた銀の鎖の首飾りを取り出し、二人に着けてあげた。


 するとエクレットもシュクレもメイドさえも、一斉に顔を覆った。

 え?なにか間違った?

「あんたってば、それをこの場で出す?」

「首飾りって最悪じゃない」

「・・・・・・・・・イヤッ」

「ああああ、もう!細工物師なのは判るけど、精精、髪留め位にすりゃいいのに」

「銀鎖って、天然?天然よね?天然にも程がある!」

「・・・・・・・・・」プイ



えええ?何?何?又、何か間違った?




良くわかんないけど、続けよう。


「年は幾つかわかるかい?」

「「・・・・・・??」」判らないようだ。

「何回冬を、ああ、寒い季節を過ごしたかわかるかい?


「「・・・・・・!!」」二人は途端に体を硬直させて、手を握り締め目をギュッと瞑ってしまった。


え?え?え?どうしたんだろう



「うーーーーん、ホントにもう、このスノックは、年齢なんて判る訳ないじゃない、数が数えられないんだから」


「え?あ!そっか、そうだよね、サリシュは水の歳位かな?エリアルは星の歳位かな?

 こっちで決めちゃったほうが良いのかな?」



「あのね、その子達見かけ通りの年齢とは限んないのよ、もっと幼いは・・・ないか、あんたより年上かもしれないのよ、サリシュがエリアルより年上かもしれないの、それがその子達が背負ってる物の一つよ」



「けど、まだマニシの証がきてないって・・・」

 ゴツッ、シュクレにまた殴られた。

「あんたって、ハーそういうことを、こんな場で大きな声で言わないの!!」


「人族の子ならねその位でしょうけど、この子達は「人族だろ!「ほう」人から生まれた人族だろ、母親を知らなくても、この子達は、なんとかって属のなんとか族って子達じゃないよ!

 ボクと同じ人族の孤児なんだよ」」

 シュクレの言葉を遮って言った言葉に、ハッとするシュクレと、感歎の声をあげた子爵様。


 この場では子爵と執事だけは、大凡の年齢を掴んではいて、見かけ通りではないことを知っているが、カンドの主張を尊重し、秘匿することに決めたようだ。



「そうね・・・その通りね、年齢不詳だし見た目通りでいいかもね?

セルディオ問題ないわよね?」エクレットが執事に問いかける。


「仰せの通り」


「私の見立てでは、サリシュは森の歳、エリアルは風の歳かな」と、

ペロっと舌を出す。


 ボクにはとても、そのくらいの年齢には見えない。

「エクレットそれは幼すぎないか?そんな小さな子だったら「引き取れないとでも?」」

 エクレットに被せられて、口ごもってしまう。


「そのくらいの見習いの子は大勢居るわよ、あんただって幾つで親方のところに行ったのよ、それにね、それによ。

 

 折角なら、洗礼位受けさせてあげなさいよ。

 一つや二つ、三つ四つの違いくらい、女の子なのよ何でも無いことよ。」


「えーー洗礼も受けさせない積もりだったのぉ?」

「え!そうなのかぁ!?」

「洗礼も受けさせずに、働かせるつもりだったのくわ!」

「「ひっどーい、かわいそお」」


 シュクレとデガンダが攻め立て、ジョアスまで加わり、エクレットとシュクレが

ハモル。


「うぐっ、そこまで責めなくっても・・・ハッ!」

「どうした?」

「この子達住めるのかな?村内で暮らせる証どころか通行証もない旅商人にもなれないよ、どうしよ・・・養子にすればいいのかな養子ってどうすれば・・・平民ってどうやってなるんだ」


 オロオロしてしまうばかりだ、「どなたか、ご存知有りませんか?どうか知恵を授けて下さい」

「おいおいおい、落ち着け、子爵の裁定をきいてなかったのか?」



 執事がスイッと前に出てきた。

「ログル村のカンド、孤児2名の引取りの功績を認め、市民印可を授ける。

 又、風の歳エリアル、並びに森の歳サリシュは、ログル町カンドの庇護下にあると認め、市民権を与える」


「「「「!!!」」」」


「「「「市民権!?」」」」


「いきなり大出世じゃないか」


 執事が式典で見かける黒い盆を、ボクに見えるように差し出す。

 そこには、エリアルとサリシュの名前が書かれた、市民証明書と、赤い小さなプレートが一枚と、銀のプレートが二枚が並べられている。


 一堂目を見張る、銀の市民票だ、翼と太陽の図柄が入った天翼市民票、赤は赤羽市民票だ翼の図柄が入っている。

 子爵領館のある、市街区に住むことが出来る、上級領民の証。


「エリアルとサリシュは一旦、俺が身元引受人となる。

 ここから出す以上は体裁もある、多くは語らんが俺からの手向けだ。

 カンド、其の方は二人を連れて、いつか市街に入って貰わねばならぬ時も来よう、其のときは躊躇わずに、市街に入れ。


 レジュルログ=アルデ・ド・フォルドの名において、新たな市民を歓迎しよう」


 パチパチパチと子爵と執事が拍手をした。

 他の皆は其の後、釣られるように拍手をしてくれた。


 そこへ、ツイと扉脇に居たメイドが近づいてきた。

「エリアル様、サリシュ様、御召し替えを」と、騎士団で着替えた服とは違う、淡い青色の上下一対のヒラリとした服を差し出して来た。


「うん、そうね、着替えさせましょ」と、シュクレの言葉を聴くが早いか、エリアルもサリシュも同時に着ていた服を脱いでしまった。

 土嚢袋みたいなゴワゴワの一枚物だけに、止める間もなかった。


 メイドは顔色も変えずに、手早く用意していた服を着せてしまい、帯締めを行い、襟元をそろえ、髪を梳かしている。


 着替えさせると、途端に、仮面のような無表情になってしまった。

 まただ、どうすればいいんだろう、希望も持てずに笑えない子達、きれいな服を着ることが苦痛の始まりだなんて思わずに居てくれる様になるって・・・。


 ボクの覚悟かぁ、覚悟なんて、何なんだよ、普通に生きるってきただけなのに。

 普通かぁ、普通だよな難しいのは、フフフハハフフアハハ、なんか笑えてきたよ、普通でいいんだよ、特別なことじゃない、普通に接してあげればいいだけじゃないか。

 何かを判らせてあげるなんて、おこがましい、ボクそんなに上等な生き方して来てないよ、だけど最低な生き方もしてきてない。


 ボクはボクが生きてきた道筋しか知らないんだし、ボクが経験してきた事を教えてあげよう、そこからだな。



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第二十話 再会


さて次回は

石臼を回すブルダック爺さん、豆をゴリゴリすり潰す

朝から石臼回して、漸く袋1杯の豆を溜め込んだ

ウンショと伸びして、袋を持ち上げようとしたその時に

旨のポケットから、鎌砥ぎ石がポロリと袋の中に

深く沈んでしまって、何処に行ったやら

慌てて両手を突っ込んだブルダック爺さん

粉引き袋から鎌砥ぎ石を救い上げ、ホッと一息

袋を担ぎ上げたが、粉にまみれた両手がすべる

ツルリ


次回 「第二十一話 フィケロセバンの紋章」

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