みらいかこ

@yui5702

第1話 胡蝶の夢

まただめだった。古文テスト、0点。

「結々さんは授業中も違う世界に行ってること多いですよね。授業中寝なければもっとできますよ」

は?眠くなる授業するのが悪いんじゃん

「楽しくないんです。歴史とか古典とか。私は未来のために生きてるんです!」

「将来を考えてるのなら勉強してほしいんですけどね、」

面談とかマジ嫌い。もう最近なにやってもだめ。ずっと眠いし勉強できないしなんかすぐむかつくし。

「えー?私古典と歴史大好きだけど。ずっとずっと昔の、知るはずのない世界を知るの楽しくない?」

「しおりんはいいよねー。今回も学年3位だっけ?しかも彼氏持ち。本当に世の中不平等すぎ」

「私はゆゆのこと羨ましいよ?常に未来見ててかっこいい」

未来...期待してるだけ。今が嫌いだから。でも何となく分かってる。このまま生きても楽しい未来があるとかじゃないって。

「慰めてくれてありがと。しおりんの彼氏そこにいるよ。じゃーね」

「あ本当だ、結々ごめんなんかあったら電話して!ばいばい!」

しおりんはかわいいし優しいし勉強できるしそれに比べて私は何なんだろ。何やってんだろ。明日はちょっと真面目に授業受けてみようかな...



「昔者荘周夢に胡蝶と為る。栩々然として胡蝶なり。自ら喩しみて志に適えるかな。周たるを知らざるなり。 俄然として覚むれば、則ち蘧々然として周なり。知らず、周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるかを...」

うんやばい限界だわ。寝よ。

机につっ伏す。私寝る能力だけはあるんよ。ほらもう来た...

バサバサ...

あ!お花だ!バサバサ...花粉運ばないと!てか私の羽めっちゃきれいくない?うわ人間だ!怖い怖い

.....

「はっ...!」

「あ結々さん起きましたね?じゃあこの漢文の意味答えてください」

「いやえ私蝶々になってでも自分が自分ってこと忘れてました。まじ蝶々の夢見てました」

ザワザワ...

え待って私何言ってん。終わったわ

「結々さん合ってますよー。そうこの漢文では荘周が蝶々になる夢見るんですね、でも自分が荘周ってことは覚えていないんですね。それで...」

え?どういうこと?私寝てただけなんだが。漢文と同じことが起こった?

「結々さっきすごかったね!寝てたのかと思ったらちゃんと授業聞いてたんだね!」

「いやしおりん聞いて。寝てた。」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

みらいかこ @yui5702

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ