首無し、ライダー?
首無しライダーって怪談、けっこう前に流行りましたよね。
それに近いものを見た気がするんです。
田んぼの中で首を伸ばす、シラサギの写真を撮っていたんです。ダイサギという種類の、少し大きめな白いサギを見つけたので。
他にも被写体になる鳥が居ないかと腰を伸ばすと、農道に妙な人影が見えたんです。
頭が無い人のように見えたんですよね。
首無しライダーの怪談を思い出しました。
でも、バイクには乗っていなかったんです。
首のない人間が歩いていて、その後ろをバイクがひとりでについて行っているように見えました。
そんなはずはないと思い、望遠レンズを覗いたんです。
やはり歩いていたのは首のない、黒いライダースジャケットの男でした。
襟首の中に肌色は見えるのですが、どこにも頭がありません。
その後ろを散歩中の犬みたいに、ゆっくりついて行くバイク。
バイクを押している人の姿も見当たりません。
前を歩く男は、時々雑草の茂みに屈み込んだりして、何か探している様子でした。
首が無いのに、どうやって探し物をしているのか。
やっぱり、首を探していたのでしょうか。
しばらくうろうろしてから、首無しライダーはバイクに跨り、走り去って行きました。
けっこう大きなバイクでしたが、走行音は聞こえなかったですね。
カメラを向けていたシラサギのすぐそばを走り抜けたんですが、飛び立つこともありませんでしたよ。
見た時はゾッとしましたけどね。
昼間だったし、実際に目の前に現れると、恐怖を感じるべき存在とは思わないものでした。
首無しライダーらしき人物の写真も、撮ってみれば良かったです。
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