せっけん 2
いただき物の古い石鹸をおろしたら、翌日は半分になり、さらにその翌日で完全に消えてしまいました。
古い石鹸をネズミが好んで、食べてしまうのでしょうか。
石鹸は、あと9個あります。
真相を確かめてみようと思い、また新しく個装箱から取り出し、石鹸置きに乗せておきました。
半分になっていた石鹸が、消えてしまったのを確認したのは朝のこと。
すぐに新しい石鹸を出しておきましたが、外出から帰っても新しいまま無傷です。
夜になって、その石鹸で体を洗いましたが、1回使った程度では大きさに変化はありません。
石鹸らしい優しい香りが、お風呂場に広がっています。
ネズミの気配を感じた事はありませんが、夜になると活動を始めるのでしょうか。
お風呂場の上にでも住み着いているのでしょうか。
翌朝、顔を洗うより先に石鹸の様子を確認しました。
石鹸は、半分になっていました。
厚みはあまり変わっていません。丸みを帯びた長方形の石鹸を、真二つに切ったように小さくなっているのです。
使われた減り方ではありません。
石鹸の縁を見ても、
触ってみても、つるんとしています。
こんなにキレイに、かじるものなのでしょうか。
さらに翌朝、半分になった石鹸も姿を消していました。
試しに今度は、買い置きしていた別銘柄の石鹸を出してみました。
食べ物の場所を覚えたネズミが、銘柄の違う石鹸も食べに来るのではないでしょうか。
でも、残念ながら翌朝も翌々朝も、別銘柄の石鹸に変化はありませんでした。
やはり、赤い箱の古い石鹸だけが消えてしまうようです。
インターネットで調べてみると、ネズミが石鹸をかじるのは歯を削るためとのこと。
果物などの天然素材を使った石鹸の場合は、好んで食べる事もあるとのこと。
歯を削る事が目的なら、銘柄の違う石鹸でもいいはずです。
古い石鹸の成分が、ネズミに好まれる物だったという事でしょうか。
そもそも、石鹸がキレイに半分ずつ消えていくのは、ネズミが原因なのでしょうか?
ネズミでないなら、何が石鹸を半分ずつ消してしまうのでしょう。
親しみのある石鹸そのものが、不気味に思えてきました。
箱の外からも香りのわかる石鹸です。
友人の家の物置にあった時点で、ネズミが来ているはずとも思います。
石鹸が使われずに物置にしまい込まれていたのは、不気味な減り方をする石鹸だったという理由のような気がしてきました。
いただき物に、ケチをつける事になるのも嫌です。
その内に、友人と会う事があったら、それとなく聞いてみる事にします。
けっきょく、謎は解けませんでした。
でも、謎が解けないからこその、不思議現象というものなのかも知れません。
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