ミジカイダン

夜の廊下

　つい先日の話です。

　夜型の生活をしているので当然、暗い時間に活動しているんです。

　夜中にトイレへ行く時も真っ暗の中なわけで。

　もちろん廊下に照明はありますが、部屋からトイレまでほんの数歩ですから。わざわざ廊下をちょっと戻ってスイッチの所まで行くことなく、いつも暗い中を行っちゃうんです。

　廊下は真っ暗でも、トイレのスイッチをつければ明るいですし。

　先日も、まっすぐトイレのスイッチに向かっていたんです。

　でも暗闇の中で、トンっと肩がぶつかったんです。

　まっすぐに進んでたつもりが、何かの拍子に斜めに進んでしまって壁に当たったのだと思いました。

　左右に壁のある狭い廊下ですから。

　両手を左右に伸ばして、体の角度を確認してみたんです。

　やっぱり、まっすぐ進んでいたんです。壁に当たった訳ではなくてね。

　気のせいだなと思って、そのままトイレに行ったんです。

　トイレの電気をつけて、ちょっとドアを大きく開けて廊下を見てみましたけど、ぶつかるようなものも何もなくて。

　肩こりもひどいので、ズキッていうほどでもないですが、ぶつかったように感じたのかなーと思ったんです。その時は。

　用を済ませる間にそんなことも忘れて、部屋に戻る時も暗い廊下を行きましたけど、何かにぶつかるようなことはなかったんです。

　でもまあ、夜中の内にトイレ１回では済まなくて(笑)。

　もう一度、さっきのことなど忘れているので、また暗い中を数歩先のトイレに向かったんです。

　まっすぐにトイレへ向かっていたら、またぶつかったんです。

　今度は、肩じゃなかったんです。目の前の何かに、正面からぶつかりました。

　ビックリして自分の部屋まで戻りましたよ。

　衣擦れというか、人の気配なんですよね。人だとしたら、私より大きい男性だと思います。

　すぐに廊下の電気をつけたんです。

　廊下には、誰の姿もありませんでした。

　ずっと夜型の生活をしているとはいえ、暗闇の中って、脳が居ないはずの存在を意識してしまうようなこともあるのでしょうか。

　そういう、自分の感覚的な理由であってほしいです。見えない同居人がいるとは、考えたくないですね。

　でもいま思えば、もしそれが泥棒だったら、電気なんかつけてしまって顔でも見ようものなら危なかったかもしれませんね。

　何も盗まれている様子はありませんけど。

　これからはトイレに行く時、廊下の電気をつけようと思います。