【お役立ち度2.5】めんどくさがりなきみのための文章教室

おもしろさ4

読みやすさ5

お役立ち度2.5

いとおしさ1

おすすめ度3


はやみねかおる著 飛鳥新社


●特徴

 言わずとしれた指南書の名著です。はやみねかおる先生の名前に怯む気持ちが、お役立ち度に0.5を追加させました。


 本書は小中学生・ビギナー向けの文章指南書です。タイトル通り、「めんどくさがりな」人にとって非常に読みやすい内容となっています。


 内容は、小説パート・解説の見開きで構成され、その間に解説と小説の融合のようなパートがあります。「めんどくさがり」な人は小説部分は飛ばしてもOK。マーカーで強調された部分と解説の見開きだけでも十分学べます。


 小説のための指南書ではなく、「文章教室」なので、序盤はアイデアの出し方や基本的な文章の書き方から始まり、終盤に小説の書き方に触れる部分が少しある程度。すでに小説を1本かきあげたことのある方にはミスマッチかもしれません。



●いい点

 まずは前半(1章・2章)について。読書感想文や手紙、日記などを起点に、あらゆる文章の書き方の基礎が書かれています。


 突然自分語りを始めるのですが、筆者(私)は9歳のときに「今日から毎日小説を書こう」と一念発起し、それから13年間毎日欠かさず小説を書き続けていました。最初は下手くそで、うまくなろうと毎日もがきながら試行錯誤してきました。

 今ではようやく、少なくとも「読める」ものが書けるようになったと思っています。


 そして私が13年かけて最適化してきた技術が、この本には全部書いてありました。悔しくてならないです。


 「文章を書く」うえで無駄のない必要最低限のことが書かれたいい本です。何書かかなきゃいけないけれどめんどうだ、手っ取り早く書けるようになりたい、といっためんどくさがりな小中学生にぜひおすすめしたい一作です。



●悪い点

 悪い点ではないかもしれませんが、本書は子供向け・超ビギナー向けの「実用書」であり、小説の指南書というには少し物足りないボリュームです。また、内容は「めんどくさがり」な人向けで、子供時代に原稿用紙を渡されて目をいきいきとさせていたタイプの人にはあまり向かないかもしれません。


 先ほども書いたように、すでにある程度の文章力のある方、ライティングのレッスンを受けたことのある方、小説を書き上げたことのある方には向きません。


 また、小説の形式で進むため、実用書にしては冗長性が高いです。ちゃんと読むには腰を据えて読む必要があり、情報だけ得たい人には少し煩わしいかもしれません。そんな方には、見開き部分とマーカーで強調されている部分だけ読むことをおすすめします。


 あと、実用書としてクオリティが高すぎる。いとおしさ(粗)がない。著者のはやみねかおる先生も非常に謙虚でつけいる隙がない。指南書ウォッチャーとしては肩透かしをくらった気分です。



●まとめ

 アマゾンレビューには、「それができりゃ苦労しない」というものがありました。たしかに、本書もほかの指南書とたがわず、「とにかく書いて読め」という姿勢をとっています。しかし、その書いて読む段階で何をすべきかということがかなり具体的に書いてあります。


 中級者以上の人はあたりまえにやっていることかもしれませんが、その「あたりまえ」から私情を排してまとめるのは非常に難しい作業です。それを見事にやりきった名著だと感じました。

 お子さんや初めて文章を書く方などにおすすめしてみるのもいいかもしれません。

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