第11話 恐喝
俺は今、ある扉の前に立っている。
この砦にこんな重厚な扉があったのか?
「エルザ大隊、ザイド中隊、ヨル小隊ギーグ分隊所属のジミーです
只今出頭しました」
どうして、こうなった。
午前中の訓練が終わって間もなく、
「「ジミー、お前、何をした?」」
ヨル小隊長とギーグ分隊長に、いきなり詰め寄られた。
「なんですか、いきなり。
ガラじゃあるまいし、何もしてないですよ」
そう俺はなにもしていない。
「本部から通達だ、ジミー 奥の会議室に直ちに出頭せよ。
呼び出したのは ダルネア師団長だ」
そう・・・俺はなにもしていない・・・・よな?
ここは奥の会議室。
大きなテーブルにこの砦の重鎮たちが座っている。
ダルネア師団長、その副官のコード副師長
カイブラ大隊長、コーモレト大隊長、エルザ大隊長
エルザ大隊長以外、口すらきいたことが無いんですが?
正面に座るダルネア師団長が口を開く
「ジミーだな、これから話す事は極秘事項だ
ここにいるメンバー以外には他言無用だ分かったな」
「了解です」
「話は長くなる、そこに掛けたまえ。」
「失礼します」
「実は、サラマンダーが現れた」
エルザ大隊長、なんで笑ってるんですか?
つまり大事な国の鉱山の坑道にサラマンダーという
デカイ蜥蜴が現れて使えなくなった。
倒すには水の師団魔法が必要だが、400人も狭い坑道に入れない。
それにサラマンダーのいる溶岩溜まりに水入れたら、
こっちが蒸し焼きになる。
「あの、どう考えても無理なんですが、何故、私が呼ばれたんでしょうか?」
「ああ、エリザにね、前衛まとめて集団詠唱させるような奴なら
何か思いつくかもしれないと言われてね」
「無理でしょう、鉱山を使用可能な状態でサラマンダーを排除するなんて」
「ん?サラマンダーを排除するだけなら、何か方法があるのかい?」
「そこの地形は分かりませんが排除だけを考えるなら、
雨水や池・川の水を引き込んで水没させるとか? 」
「え?」
「それか、坑道の外で水の師団魔法を使います。
1回で4t 1日15回詠唱出来れば60tは行けるでしょう。
5日で300t 1つの師団でこれですから
他の師団の協力も得られたら倍にできます。
1か月あれば坑道を水没出来るんじゃないですか?」
「そうだな」
「問題はどうやって後で水を抜くかですね、
これなら新しい坑道を掘る方が早くないですか?」
「それなんだがな」
「そもそも、いったい何の鉱山なんですか?」
「ああ、魔晶石 魔石の原料さ」
「・・・・・ええ!、大変じゃないですか? 」
「ああ坊や、だからこの事は内密にな。このまま採掘できなければ、
何年後かには魔石供給に支障をきたすかもしれないからね。
ありがとう、参考になったよ、ジミー、退出を許可する」
「了解です」
最奥の会議室
「師団長、どうでした? まともじゃない子は」
「ああ、驚いた、確かにとんでもないね。しかも理屈立てて考えている」
「しかし、水没ですか 考えましたね」
「ああ、でも今回は無理だろう。
水没した坑道の復旧は、おそらく100年単位の事業になる」
「実際、魔晶石の供給状態はどうなんですか?」
「ジミーにはああ答えたが、来年には支障が出るだろうね」
「急ぎ、何か対策を取らないといけませんね」
「ああ、しかし、あんな子は貴重だ大事にしな」
「はい、私の【のど薬】の供給源ですから。
今度、師団長におすそ分けしますよ、あの【とんでもない薬】」
「あの子だけでなく薬も とんでもないのかね」
「次も とんでもない何かをやらかしそうですね」
「「ジミー、師団長の呼び出しはなんだったんだ」」
「前衛に集団魔法を詠唱させた”おかしな奴”の顔が見たかったらしいです」
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