第4話 1/40の甘味
初めての休日。
今日は
魔法はつかっちゃダメな日だ。
今日は、アリアに教えてもらった情報を元に街の探索を行う。
まずは菓子屋、庶民向けが2件と高級志向が1件、その中間が1件あるらしい。
まよわず庶民向けの店に向かう。
”ダレス菓子店”意を決して中に入る。
中を見ると紙にくるまれたキャンデーらしき物とクッキーらしき物、
そしてパウンドケーキの切り売りらしき物がある。
キャンデーは5粒で銅貨1枚(1000円)か? 感覚的にかなり高い。
クッキーは10枚で銅貨1枚(1000円)
パウンドケーキは1切れ小銅貨(500円)
何か種類があるのかと思ったが1種類みたいだ。
とりあえず3種類共購入して店を出た。
次は乾物や調味料の店だ、
看板には”ドギーの店”とだけ書いてある。
重いドアを開ける、うん・・これは業者向けかな?
赤い縁無帽をかぶった、
太ったおじさんがこちらを不思議そうにみている。
「うちに何か用かね? 」
「はい、知人にドライフルーツや甘味料の店を聞いて、
この店を紹介されました。」
「誰の紹介か教えてもらっても良いかね? 」
「アリアと言います」
「おお、アリアか確かに娘の友人だよ。君は? 」
「申し遅れました、今、アリアと同じ部隊にいますジミーと申します。
故郷では、なかなか甘味に出会えないので、
何かあれば故郷に送ってやろうかと探していました。」
「そうか、それなら一通り説明してあげよう」
「ありがとうございます。」
心の中で『菩薩』にも手を合わせた。
ドギー店長に店を案内してもうらう、
まずは目的の甘味材料だ
「大体、一般的な甘味というとこれだね」
アメ色の半透明の塊を見せてくれた。
「これが、平原蟻の蟻石だ、これを割って調味料として使うのけど、
独特の癖があるから、そのままは使わないね」
「次は、ブルーイールの砂袋の甘砂」
そう言って袋に入った褐色の粉を出してきた。
「淡水の大鰻、ブルーイールは特定の湖底植物を食べて甘味を砂袋に蓄える、
甘砂といっても水に溶けるけどね。」
「製菓にも使用するけど、この量で銅貨3枚(3000円)だね」
「普通に使うのは、これくらいだけど。こんなのもあるよ」
と500ccくらいの小さなツボをとりだした。
「これが樹糖だ」
「北方の木から取れる甘い液をとことん煮詰めて、驚く甘さにしたものさ。
この量で銀貨2枚(20000円)だから、普通の店には置いてないけどね」
と、いたずらっぽく笑った。
「すみません、蟻石1個と甘砂2袋ください」
「あいよ」
商品を受け取るときに、ふと乾物コーナーの説明に気になる物を見つけた。
”乾燥ニガ”1袋 銅貨1枚
「ニガってあの緑の実ですよね? あれ何かに使えるんですか?」
「ああ、地域によってはこれを煮出した湯を飲むらしい。体が温まるんだと」
漢方薬の陳皮か、確か喉にも良いんだったな・・・・ん?
思いついたが、失敗したら大損だよな・・・でも・・・・よし
「すみません、ご主人。樹糖も1瓶ください」
あー言っちゃったよ。
商品を受け取った俺は、帰りに蓋つきの小さなツボを1つ買い、
兵舎に帰ってきて荷物を置くと、即座にニガの樹を探した。
「確か、兄さんとニガの実を見つけたのも、今ぐらいの季節だったはず」
確か兵舎の近くにあったはず・・・あった、実も成っているな
形の良さそうな実を20個程もらっていく。
後は食堂の調理場を借りて・・・理由はどうしよう
もったいないけど・・・
調理のおばちゃんにクッキー渡して使わせてもらおう
「故郷に伝わる喉の薬を作りたい」とか。
クッキーを渡したら。
おばちゃん 蔓延の笑みで許可くれた。
ただしおばちゃんの監督下でと条件が付いたけど
まあ実験だし、
予想だと糖度が高すぎて腐らないはずだから・・と自分に言い聞かせる
おばちゃんの前で湯を沸かして、まずツボと蓋を熱湯で消毒する。
それからヘタを取ったニガの実も水で洗って、さっと湯を掛ける。
ツボにニガの実を入れて樹糖を流しいれ、蓋を閉める。
樹糖の瓶を見たおばちゃんの顔がちょっと怖い
よし多分、暗所で一週間くらいかな。
”ニガの樹糖漬け”いらない物と高級品を使った大冒険の一品
「おばちゃん」
「なんだい? 」
「この瓶に少し残った樹糖もったいないよね」
「ここにパンがあるけど、一緒にどうだい」
「ありがとう、おばちゃん」
二人でおいしくいただきました。
おばちゃんが入れてくれたお茶を飲みながら
「ところで坊や」
「はい」
「今日、作った薬はいつ頃出来るんだい? 」
「故郷とは気候も違いますが、おそらく1週間後くらいかと」
「じゃあ、次の休みにはできてるね」
「はい、その予定です。」
「ちゃんと出来たか確かめないとね」ニヤリ
「はい、薬ですから、
失敗したり人に害があってもいけませんから」ニヤリ
「ツボ預かってやろうか?」
「来週までよろしくお願いします。」
「私の名前はビナータだ、坊やは? 」
「ジミーです。今後共よろしくお願いします」
「まかせな ジミー」
よし!共犯者ゲット
次の休みに二人で1個ずつ試食しました、
薬効は確認できませんでしたが、
ともかく大変おいしゅうございました。
おばちゃんと相談して材料代折半で、もう2ツボ作りました。
ちょっと思いついた事があったので
少しだけどもう1品作ってみました。
『初めてだな、日本の記憶が役に立つのって。
梅酒や梅シロップは定番だったな。
そういえば喉に良いって言われて作った花梨シロップ
あれ、けっこう癖があって、誰も飲まなかった事があったな、
ほんとに成功して良かった』
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