第2話 1/20の新人

砦に到着した、我々20人の新人は


教官の後をついてゾロゾロと歩いている。


教官が建物を指さし


「右側の黒い屋根が男性兵舎、左の赤い屋根が女性兵舎だ。


各自 受付で自分の部屋を確認し荷物を置いてこい


クォーキャス30分でここに戻ってこい。総員駆け足!」


俺たちは、あわてて兵舎に駆け込む。


受付には、部屋表が貼ってあった。


ジミー 2階 203号室 6人部屋か


203号室に入ると、少し年上のお兄さんが2人。


壁にはお決まりの3色の枠の板。


2段ベッドが2台と普通のベッドが2台ある。


お兄さん達に、杖礼をして。


「本日からお世話になります。


新人のネルモルカ村から来ましたジミーです。


先輩方よろしくおねがいいたします。」


とキッチリあいさつさせてもらった。



お兄さん達は驚いたのか若干挙動不審に顔を見合わせている。


右側の赤毛のちょっとチャラそうなお兄さんが


「おお、しっかりしているな。


挨拶は部屋のみんながそろってから正式にするが、


俺がギーグでこっちがネイドだ、どっちも分隊長だよろしくな。


荷物は名札を確認して自分の寝台に置け。」



右側の2段ベッドの上段に”ジミー”と書かれた木札がかかっている。


自分の寝台に荷物を置いていると


ぞろぞろと後の3人が入ってきた。


「よし、揃ったな。


俺はこの203号室の部屋長のギーグ、


こっちが副部屋長のネイドだ。


そっちの奴から自己紹介頼む」


俺より少し背の高い少年が


「リドです、ニーダの街出身ですよろしくおねがいします。」


俺と背の変わらない色黒のツンツン頭


「ガラだ」


縦も横も俺よりかなりデカイ少年?


「ポルトという、よろしく」


そして俺が

「ネルモルカ村から来たジミーです。


よろしくお願いします。」


「リドとジミーは俺の分隊、


ガラとポルトはネイドの分隊所属だ。


荷物置いたらさっきの前庭に集合だから、


短杖持って付いてこい。」


「「「「はい」」」」


前庭(というらしい)に到着すると、


ギーグ分隊長が「エルとアリアは居るか」と声を掛けた。



「「はい」」という声と共に2人の女の子が前に出てきた。


一人は小柄で黒髪ぱっつんエルだな、


もう一人はうんおっきいな淡い色のポニテか。


「分隊長のギーグだ」「エルです」


ポニテが「アリアです、よろしくお願いします」


ついでに「ジミーです」「リドです」


「よし、うちの分隊はこのメンバーだ。


揃ったら装備科に一式受け取りに行くからついて来て。」


「「「「はい」」」」


5人で装備科に向かう。


装備科は装備倉庫も兼ねているのでかなり大きな建物だ。


分隊長はドアを指さして


「男はそっち、女の子はそこのドアから入って一式合わせてもらってこい。


俺はここで待ってるから、終わったらココ集合な」


「「「「はい」」」」


中に入った俺を、皮の前掛けをした髭のおじさんが手招きしてる。


そっちに行くと「4番か5番だな」と呟いて皮鎧と俺の体を見比べる。


「4番か」と俺の体に鎧を合わせ所々ベルトで寸法調整をしている。


「よし、体をひねってみろ。痛いところは無いか?」


「はい、大丈夫です。」


「よし、次は向こうで右手の手形を取るから行ってこい」


「はい」



次はテーブルの前で腕組みをしている


皮前掛けの禿頭のおじさんの所へ行った、


テーブルの上には何かの皮が置いてある。


「この皮の上に右手の掌を置け、指は開いてな」


言われた通りにすると。


木べらの様なもので掌の型を取り始めた、


取り終わると。


「お前、名前は」と聞かれる。


「ジミーです」


皮の端にジミーと書き込まれる。


「手袋が出来たら、分隊に連絡が行くから取りに来い」


「はい」



「次は、向こうで背嚢と水筒と腰袋を受け取れ。


それが終わったら分隊に合流だ」


「はい」


背嚢、水筒、腰袋を受け取って部屋の外に出た。



ギーグ分隊長の所に戻ると、リドはもうそこに居た。


しばらく待っていると、


エルとアリアも装備一式を持ってやってきた。


「遅くなりました」


「いや、皆そろったな。


それじゃあ工房に魔石を受領しに行くぞ」


「「「「はい」」」」



装備科のある棟の隣の棟に移動する。


「ここが魔石工房、通称”工房”だ」


工房の入り口でギーグ分隊長が声を上げる



「全員、杖礼!」


全員が右手で魔石の付いてない杖を垂直に胸元に掲げる。


訓練所でさんざんやったかいもあり、一応、さまにはなっている。



「エルザ大隊、ザイド中隊、ヨル小隊所属のギーグ分隊長です。


分隊支給の魔石を受領しにまいりました。」


中に居る、目に眼鏡と顕微鏡が合わさった器具を付けた老人が


「よし、ギーグ分隊確認」というと


女性職員が4人現れた。



まず1人目の女性が「分隊魔石です」と黒い魔石を1個ずつ渡してくれた。


「ギーグ分隊、短杖に黒(魔石)取付」


左手に持った杖の先端に黒い魔石をねじ込む、


右手に皮手袋が無いので非常にやり易い。


「「「「黒、取付完了!」」」」


「ゆるみやグラつきがないか確認しろ」


「「「「はい」」」」


ゆるみやグラつきを確認する。



次の女性職員が「小隊魔石です」と黄色の魔石を渡してくれる。


それを黄色い蓋のホルダーに入れたのを確認した


俺たちの様子を見ながら。


「ギーグ分隊、魔石を黄に交換」


黒を外して、黒蓋のホルダーに入れ。


黄蓋から黄魔石を出し杖の先端にねじ込む


「「「「黄、交換完了!」」」」


同様の事を繰り返し、黒、黄、緑、青の魔石を受領した。



ちなみに赤のホルダーは通常空だ、赤の師団魔石は非常時にのみ配布される。


後ベルトには水筒を吊るすフックと短杖を差すホルダーが付いている。


「ギーグ分隊、魔石受領しました。」「退席よし!」


すごい緊張した。


これは魔法士の入学式みたいなものか。



 よし、次は各自の縄香を決めるぞ。


と工房の横にある小さな建物に入った。


「皆、縄香については訓練所で習ったな」


「はい、再詠唱の時間を計るものだと」


「それでは、各自自分の好きな香りを選んでくれ。


ただし、礼儀として分隊内で同じ香りを避けるように、


注意点はそれだけだ。」



色々な香りがあったけど俺の知らない香りばかりだったので、


ただ1つ知っていたネネの香りを選んだ。


 ギーグ分隊長はキリクというヒノキに似た木の香りを使っている。


アリアはブライルというチョコレートに似た甘い香り。


エルはリクラスというリンゴに似た爽やかな香り


リドは何故かモーというサツマイモの焼けたような甘ったるい香りを選んだ。


その後、食堂兼ミーティングルームになっている部屋で


(男女の宿舎は互いに入室不可のため)


今後の訓練日程と魔法士のルールについてレクチャーを受けた。


受けたんだが・・・・・




休日は週に1日


有事に備えて平日は午前4時から夜8時まで、


命令以外での使


休日も2回に1回は平日と同時刻の使


つまり、決まった時間に全力で魔法使用するために、


日常の魔法使用が制限される・・・と


魔法使っていいのは月に2日だけ


一般人が普通に使う、ちょっと火を付けたり、ちょっと水出したりも禁止??


町で野犬(笑)に襲われても、


俺の武器は平均より小さなこのボディと貧弱な手足だけ?


持ってても使っちゃいけないこのチカラ。



『そういえば、夏に会社の命令で管理マンション敷地の草刈りをやったな。


管理事務所にあった草刈り機使って終わらせたら、


後で部長に管理事務所の備品は使うな、鎌を使えって言われたっけ。


鎌も管理事務所の備品ですがと答えたら、


次は建設中止のマンション敷地の草刈りだった、


これなら管理事務所も備品も無いだろうだって。


頭に来たから、その時の部長の発言と敷地の様子をネットに上げたら


会社に査察が入って大変だったな』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る