初めてイメージをする!?

「おい。イメージしたのに何も出ないぞ」

「良いこと、鮮明に物をイメージしたから良いってわけじゃないわ。どうやって動くのか、内部の構造まではっきりとイメージするの」

「って言われても…」

「大体イメージが出来たら、このログハウスが建つ前の私の行動をよく思い出して」

 カンネラがログハウスを建てる前にした行動を良く思い出し、とりあえず真似てみる。瞳を閉じ、頭の中でイメージを鮮明に表現する。棒状で先端は光り、動力源は電池…。俺がイメージしたのは懐中電灯。

大きな声で「懐中電灯」と言った瞬間…。右手にボンッと爆発音とともに白い煙が出てきた。

「出来たのねー。流石だわ」

 とカンネラが振り向く…。

 ―できたのか…。

次第に白い煙が無くなっていき、右手を見ると…。

歪に曲がった、不格好な懐中電灯だった。

「もうどうにでもなれー」

 不格好な懐中電灯で夢食獣に光を向けると後ろに下がっていく。

「いいわ、その調子よ。奇妙な形をしたランプね」

 ―作りたかったものと違うけどな…。

 夢食獣三匹を寝室から外に追い出すことができた。

「さあ、夢食獣達、さっさと夢に帰りなさい」

「おらぁ、おらぁ~」

 強気に懐中電灯を振り回していると懐中電灯の明かりが消えた。

「あれ…」

 何度もボタンを押すが、付かない。

 後ろに引いていた夢食獣達が、また寝室に入ってくる。

「くそっ~」

 持っていた懐中電灯を投げつけた。が、ひらりとかわされる。

 じわじわと近づいてくる夢食獣にカンネラと俺は絶望する。

 頭の中は”襲われる”と”食われる”を無意識に考えて、冷や汗が頬に流れる。

 俺が怯えているなか、カンネラだけが火がないランプを振り回して威嚇している姿を見て、自分が情けなく感じた。

 ―俺も何かできれば…。

 心の中ではそう思っていても、体は動かなかった。

 カンネラも疲れてきたのか、ランプを振る速度が低下し、息も荒くなっている様だった。

「もう…。無理」

 カンネラが倒れ、夢食獣達が一斉に飛び掛かる。

「きゃああああ」

カンネラが悲鳴を上げ、俺は恐怖のあまり目を閉じる。

 目を瞑ると、さらに恐怖が倍増し俺は悲鳴を上げてしまった。が…。

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