夢食獣登場!?
「良人…、起きなさい」
「もうちょっとだけ…」
頬に鈍い痛みが走り、俺は飛び起きた。
「え、痛っ。なに」
「いいから、来なさい」
寝ぼけて何が起きているか分からないまま、カンネラに腕を掴まれ、無理やり体を起こされる。
部屋が暗い中、カンネラの声で「しっ静かに…」と俺の口をぐっと手で押さえる。
外に何かいるのか、一匹、二匹、三匹と、ざっくざっくと足音がする。
手で押さえられた口を振りほどき、小声で「野良犬じゃあないのか…」と言うと…。
「この足音に深みは感じない。これは…」
家の外から「グワッアァァァ」という犬でも猿でもない、聞いた事のない鳴き声がした。
「今のなんだ…」
「あの鳴き声は、”夢食獣”よ。まさか、ここで出るとは…」
「むくいじゅうって何だよ」
「夢を食らう獣。訳して、夢食獣。彼らは”人の夢”から生まれた架空の生物よ。あぁ、見え張ってログハウスなんて建てなきゃ良かった。このまま去ってくれれば、有り難いのだけど」
暗くてカンネラの顔も上手く確認できないのに、声から緊張しているのを感じる。
カンネラは周りを見ている間、俺は恐怖で体が震えていた。
右側の窓に何かが覗いてきた。黒い影が見えた瞬間、「グワッアァァァ」と鳴き声がもう一度聞こえた。―それを最後にぴたっと足音も止んだ。
俺は安心をしてため息を吐く。「去ったのか…」とカンネラに聞いた瞬間。
夢食獣が壁を引き裂き、「グワッアァァァァガッ」と鳴きながら三匹が寝室に押し寄せてきた。
「これが…。夢食獣」
かすかに発光する。犬のような体系に黒い布で目と鼻を隠し、おぞましい牙だけが見える。
「もうっ。何でインがない時に限ってコイツらに遭遇するのよ~」
カンネラは、ランプを手に取り、振り回す。俺は腰が抜けていた…。
夢食獣は怯えている俺達を楽しむかのように、「ケッケッ」と鳴きながら距離を詰めてきた。
「ねぇ、良人。あなた、インを使ってイメージ出来る」
「え…。無理言うなよ。やり方だって知らないのにできる訳…」
「簡単よ。作りたい物を頭の中でイメージするの。夢食獣は光に弱い。何か光るものが作れれば…。」
気が付くと、夢食獣がすぐ近くまで来ていた。
「そう言われても…」
何も思いつかないまま、何か光る物のイメージをした…。が、何も起きなかった。
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