ビニールハウス(音楽ジャンル)の成立と歴史

SugiyaMaru

ビニールハウスの成立と歴史

 ビニールハウスとは2025年にノルウェーで誕生した音楽ジャンルの一つ。またはこのジャンルを中心に巻き起こったクラブシーンにおけるムーブメントの総称。2010年代のトロピカルハウスなどを起源としている。


 2023年に発生したアイスランドのカトラ火山噴火により、ヨーロッパ全土が深刻な寒冷化に見舞われた。北欧においてそれは顕著であり、2023年冬季は積雪と降灰によって外出が制限されたほどである。

 一方東アジア、北アメリカにおいては2023年は記録的猛暑が観測され、その異常気象は音楽シーンにも影響を及ぼした。2010年代以来の、トロピカルハウスの再興である。特に日本においては夏季(7-8月)の平均気温が38℃を記録するなど記録的な酷暑が続き、その中でJトロピカルハウスと呼ばれるJハウスから派生した新たなジャンルが誕生するなど、クラブシーンにおいてトロピカルハウスが席巻することとなった。

 一方北欧では太陽すら見えない気候が半年以上続き、外出も制限されるなどしてクラブシーンは衰退の一途を辿っていた。

 そんな中アメリカに渡航し現地のクラブシーンを目撃していた、トラックメーカーとしても活動するDJ ZipLockが現地で開催されていた野外イベントをどうしても再現したいと考え、苦肉の策としてビニールハウスを建てそこでクラブイベントを開催し始めた。

 当初DJ ZipLockが開催したビニールハウスイベントで流れていたジャンルは専ら当時アメリカのクラブシーンを席巻していたプログレッシブトロピカルハウスであった。しかしプログレッシブトロピカルハウスは従来のハウスと比べBPM帯が比較的遅く(110-115BPM程度)、またビニールハウスの中とはいえ寒冷化の続く北欧においては観客の動きの少ない音楽は体温の低下を招き、寒さによりイベントが中断される事態が相次いだ。

 そうした事態に対応するため、2024年以降のビニールハウスイベントにおいて、ビニールハウス内の温度は過剰に運転された暖房により38℃にキープされ(これは2023年度夏季の日本の平均気温を参考にしたとの説がある)、また観客も大きく、多く動ける音楽を求めたため、2024年冬季時点でビニールハウスイベントで流れていたプログレッシブトロピカルハウスのBPMは最高で130に達していた。

 この頃になるとDJ ZipLockを筆頭としたトラックメーカーが自分たちの手で新たなプログレッシブトロピカルハウスを手掛けるようになる。しかし2024年冬季時点のアメリカにおいてプログレッシブトロピカルハウスの定義付けはすでに確立しており、彼らの作る音楽はプログレッシブトロピカルハウスと呼べないものとなっていた。

 そして2025年、DJ ZipLockが発表したEP「polyvinyl chloride」を皮切りに、ビニールハウスイベントシーンで用いられた音楽が明確に「ビニールハウス」と定義付けされたのである。

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